実例から学ぶ、CVポイント設計のコツ
BtoBマーケティングで売り上げに最も大きなインパクトを与えるのは、CVポイントの設計だ。こう言い切ったら、驚かれる方も多いだろう。もちろん広告の改善やWebサイトのA/Bテスト、インサイドセールスのスクリプト改善も役に立つ。しかし私の経験では、売り上げや利益といった経営指数に最も強い影響を与えるのは、CVポイントの設計を見直し、売り方を変えることだった。
そこで今回は、様々なBtoB企業が取り組んでいるCVポイントの階段設計の例を見ながら、売り上げや利益を伸ばすためのBtoBマーケティング戦略について解説していく。
多数のCVポイントを設計!船井総研の優れたビジネスモデル
まず、CVポイント設計の観点で教科書的な企業を紹介しよう。東証一部に上場し、売り上げ216億円、営業利益49億円(2018年度)を誇る船井総研ホールディングスだ。
同社グループの中核をなす船井総合研究所(以下、船井総研)は、経営コンサルティングサービスを提供している企業だが、そのビジネスモデルに大きな特徴がある。下図は、彼らが発表している2016年の決算資料から抜粋したものだ。
船井総研の売り上げの9割前後を占めているのは、「コンサルティングサービス(図の右端)」である一方、「コンテンツサービス(ピラミッドの下段)」の販売や、1回1~3万円程度で参加できる「経営セミナー(同中段)」、業種・テーマ別に開催し、会費が年間数十万円程度の「経営研究会(同上段)」も提供している。
あわせて船井総研の専門コンサルティングに関するWebサイトを確認すると、「経営なんでも相談」「メルマガ登録」「セミナー」「業界レポート(ダウンロードコンテンツ)」「研究会体験」など、多数のCVポイントを設置しているのが見て取れる。
見込み顧客にとって、いきなり高額な「コンサルティングサービス」を発注するのはハードルが高い。そこで、メルマガや業界レポートダウンロードから始めてもらい、顧客と継続的な関係を維持しながら段階的に関係を深めた上で、主軸となるコンサルティングサービスを販売しているのだ。
船井総研のCVポイントを階段で表現すると、下図のように最初のメルマガから最後の月次・プロジェクト型コンサルティングまで綺麗なステップになっていることがわかる。
これにより見込み顧客は、不安の少ない状態で月次・PJ型のコンサルティングサービスを依頼することができるのだ。
また、月次・PJ型コンサルティングサービスを購入しない/できない顧客層に対しても、有料セミナーや経営研究会によってキャッシュポイントを作れているため、経営・マーケティングの効率が上がっている点も注目に値する。
なめらかな階段設計が、リードや商談数を増やす
BtoB企業の経営者やマーケターの悩みのほとんどは「リードが足りない」「商談数が足りない」に集約されるが、これらの課題を抱える企業は、マーケティングの階段設計の途中に飛躍にあることが多い。具体的には、展示会での名刺交換からいきなり商談設定につなげようとしていたり、ノウハウ公開系のセミナーの次に、確度の高い商談獲得を期待していたりする。
リード数や商談数を増やしたいなら、見込み顧客が楽に階段を上れるよう、操作説明会や事例共有セミナーといった中間のステップを設けることが必要になる。
ここからは「なめらかな階段設計」をイメージしやすいよう、CVポイントを見直し、リード数が増えた事例を二つ紹介したい。