スマホアプリの利用時間、2年間で1.5倍へ伸長
世界中で普及しているスマートフォン。日本も例外ではなく、総務省の発表によると2013年には39.1%だった個人保有率は2017年には60%を超え、特に東京地区においては2019年1〜2月に実施された博報堂DYメディアパートナーズの調査によると82.2%の保有率となりました。
スマホの普及により生活者のメディア接触が大きく変化してきたことは既に広く知られています。では、スマホとは不可分である“スマホアプリ”の利用時間は、どう変化しているのでしょうか? App Annieのデータによると、実にこの2年間で50%も増加しています。
特に成長率が著しく、利用時間の伸長が顕著なのは、「写真(210%)」「動画プレーヤー&エディタ(125%)」「エンターテインメント(120%)」の3つのジャンルです。この領域は世界的に伸びており、多くの国で生活者がモバイルにおける可処分時間をこれら領域に割いています。モバイルを生活者接点として重要視する必要性は言うまでありません。
インストールされたアプリの7割は使われていない
App Annieによると、日本人の平均アプリインストール数は100個超で世界でも有数の「インストール国」と言えます。その他諸外国と比較すると、大容量の端末が普及していることもあり、使わないアプリを削除しなくともスマホの利用に支障がないという背景があります。しかし、「使われているアプリ」という視点で見ると、1ヵ月に1回以上使われるアプリは30個ほどしかなく、70個以上のアプリは1ヵ月に1回も使われないということが起きています。
使われていないアプリは、インストールされていないのと一緒です。ユーザーから見た時に不要だと判断されるとプッシュ通知はオフにされ、企業からのアプローチは実質途絶えてしまいます。すなわち、生活者のモバイルにおける可処分時間をまったく割いてもらえてないということです。
一方で、むやみやたらにユーザーの時間を確保することが正解とは言えません。たとえばフードデリバリーサービスのように、“極力短い時間でユーザーに利便性を提供することを価値”とするビジネスをしている企業にとっては、デジタル上での顧客体験は短くする必要があります。
とはいえ、前述したとおり「利用されないアプリはインストールされていないのと同じ」であるため、短い時間であれ定期的にユーザーに利用されることが重要です。そのために必要なことの1つは「企業目線のCX設計ではなく、ユーザー目線の設計」です。