訪日外国人市場とモバイル市場の関係
モバイルを活用して訪日外国人向けのビジネスを加速させようと言うものの、そもそもどの程度、活用の機会があるのでしょうか。
JNTOのデータによると、訪日外国人数の上位6ヵ国は中国、台湾、韓国、香港、米国、タイです。モバイルを活用したインバウンドビジネスの創出や加速を考えるにあたり、まずはマクロ環境として、ボリュームの大きいこれらの国々のモバイル市場をApp Annieデータで見ていきましょう。
アプリ収益額というのは、AppleのiOS App StoreやGoogleのGoogle Play Storeの収益額を指します。ニュースやオンデマンド動画ストリーミング等のサブスクリプションの支払いやゲーム等のアプリ内課金の合計で、アプリ広告収益は含みません。
訪日外国人数の上位国は、アプリで課金をする消費について大きく成長しているトレンドです。App AnnieではiOS 155ヵ国、Google Play 60ヵ国のデータを保有していますが、この6ヵ国は成長率のTOP20にランクインしており、他の国に比べて相対的にアプリ収益成長率が高いグループにいます。
これはつまり、スマホでサービスやコンテンツを買う、という行為が生活者の中に広がってきていると言えます。観光庁の宿泊旅行統計調査のデータによると、この6つの国のうち、宿泊旅行が最も多い国は韓国です。この韓国において、旅行に関係するカテゴリーのアプリデータを見ていきましょう。
韓国のトレンド/宿泊施設予約アプリのMAUが伸長
日本にいるとわからないかもしれませんが、韓国ではiOSよりもAndroidの市場が圧倒的に大きいです。App Annieによると、ダウンロードにおけるシェアは75%はAndroidで、収益においては80%はAndroidです。
韓国のAndroidにおける「旅行」カテゴリーの2019年1月〜6月の半年間において平均MAU上位の海外宿泊施設を予約できるアプリを見ると、AirbnbやAgodaといった韓国以外のサービスがMAU上位に入っています。
そしてこの6つのアプリの韓国におけるダウンロード数とMAUのトレンドを見ていきましょう。
左側のダウンロード数を見ると、各社とも安定して新規ユーザーを獲得していることがわかりますが、ポイントはMAUの推移です。わずか2年半で、これら6つのアプリの合計MAUが2倍に増加したことがわかります。
韓国が日本において最も宿泊旅行者が多く、その韓国において上記のような宿泊施設の予約アプリの利用人数が大きく成長している、ということがわかったと思います。では、このようなファクトをもとに、日本のインバウンド需要を獲得する事業会社は何を考えるべきでしょうか?