BtoBでコンテンツマーケが効く、4つの明確な理由
「書き手がいない」「社内のリソースがない」「予算の取り方がわからない」……。特にBtoB事業の場合、見込み顧客やリード獲得につながっていくコンテンツをどうすれば継続的に出していけるか、オウンドメディアの運営は「難しい」と思われがちだ。
だが、実はそれは大きな誤解。Faber Company(ファベルカンパニー)の中山順司氏は「BtoB事業こそコンテンツマーケティングで戦いやすい」と指摘する。同社は人工知能を使ってSEOやコンテンツ施策に必要になるユーザーニーズを可視化するサービス「MIERUCA」(ミエルカ)を提供しており、中山氏はこの5月から同社に参画。自身は直近ではクラウド会計サービス会社でオウンドメディア編集長を務め、また個人でもライターとして10年にわたり硬軟様々なメディアで執筆、著作も持つ。
そもそもなぜ、BtoBでコンテンツマーケティングが必要なのだろうか? その理由は、「今は顧客の側の情報収集力が格段に上がっているため、Webで検索した段階で俎上に上がらなければ検討の候補に入らず、戦うことすらできないから」と中山氏は語る。
同時に中山氏は、BtoBこそコンテンツマーケティングと相性がいいことも強調。「BtoCが広い海原に糸を垂れる“海釣り”なら、BtoBは“釣り堀”。正しい場で糸を垂らして待っていれば、確実に成果を上げられる」と解説する。
BtoCよりむしろBtoBのほうが戦いやすい理由として、(1)高価格帯で、(2)比較・検討の期間が長く、(3)購入意欲が高く、(4)ロジカルな意思決定がなされるから、という4つの理由を提示。顧客が知りたい情報を、正しいタイミングかつ的確な人に、説得力あるデータで示せれば、大きな成果を上げることができる。
BtoBコンテンツマーケで陥りやすい4つの課題
BtoBにはコンテンツマーケティングが必要で、かつ相性もいい。それらがわかった上でも、なおBtoBのコンテンツマーケティングは「難しい」と思われがちだと中山氏。主な課題をまとめると、「ライター&編集者が社内にいない/編集部の運営方法がわからない/始めやすいが続けるのが難しい/効果測定の方法が悩ましい」の4つに集約されるという。続いて、この4つに対する解決策が詳細に紹介された。
1、ライター&編集者が社内にいない
予算があればいずれも外注すればいいが、コンテンツマーケティングはあらかじめ予算を取りづらい分、最初は社内リソースで始動せざるを得ない場合も多い。日本語を整えたり画像を選んだりといった編集の業務はそこまで難しくはないが、肝になるのは記事のネタであり、そのネタを表現できる書き手だ。「しかし、社内でライターを募っても手が挙がることはほぼない。自薦ではダメ、他薦にしていく」と中山氏。
「ライター&編集が社内にいない」という課題は、発見する・依頼する・続けてもらう、という3つのフェーズに分けられる。発見フェーズでは、各部門やその部門長に適任者をヒアリングして“他薦”で候補者を洗い出す。次に依頼フェーズでは、他薦だと初期段階で本人に意思がなく、また本業もあるため断られるのが当然。そこで、文章力やファクトチェックは編集部で巻き取ること、それでも難しければ執筆ではなくインタビューでの記事化を提案するなど、とにかく限界までハードルを下げて提案・交渉することが奏功する。
そして最も大切な“続けてもらう”点では、「感謝と承認が大事」と中山氏。たとえば公開後の反響をフィードバックしたり、社内への定期的なレポート共有時に成果を披露するなどして「中長期的にスポットライトを当てるようにする」ことが有効だという。