コンテンツマーケティングにおける独自性の定義
大半の人は独自性(オリジナリティ)を誤解している。独自性とは、既存の延長線上にある何かではない。延長線上の施策を否定はしないが、それは単なる改善でしかない。コンテンツマーケティングでいう独自性の条件は3つ。
1.新規性:他にはない斬新さがある
2.顧客メリット:読み手に価値を提供している
3.自社メリット:ビジネス目的を達成している
独自性を出せと言われて、「奇抜なことをすればいいのか? おもしろおかしくすればいいのか?」と考える人がいる。ビジネス目的のない個人的ブログ記事やコラムでならOKだ。しかしコンテンツマーケティング的にはNOだ。
奇抜性は独自性の一部ではあるが、本質ではない。「猫の動画でPVを稼いだとして意味があるの?」的なものだ。コンテンツマーケティングにおける独自性とは「新規性、顧客メリット、自社メリット」をすべて満たすこと。機械任せにはできず、脳に汗をかかねばならない。
コンテンツ制作において、独自性を求めた結果、やらかしがちな2つの典型的な誤解も紹介するが、その前に秀逸な例を見ていただこう。
独自性のかたまり『ルーツレポ』
独自性の条件を満たしたコンテンツとして『ねとらぼ』の人気連載『ルーツレポ』を取り上げる。
ルーツさんという男性が「自分がツインテールのかわいい女の子」と思い込んで身近な出来事をレポートするという内容だ。つまり、記事に登場するツインテール女子は空想のキャラで、中身はビール好きのオッサンなのだ。
この回では、買い食いして「う~んめぇ!」「うまし!」等と連発するばかりで、内容はけして深くはない(失礼!)。にも関わらず引き込まれる独自の魅力がある。
「ありえない設定を持ってくるなんてずるい!」と言いたくなるかもしれない。「マンガだから独自性があるんじゃん!」とツッコミたくなるのもわかる。だが、『ルーツレポ』の独自性の本質は別のところにある。作者の性別と年齢を180度変換してしまうという大胆な発想により、先ほどの3つの条件を満たしているところだ。
1.かわいいい女子に変身するという「新規性」
2.画が華やかになる「顧客メリット」
3.読者に記事の拡散や実際の場所に足を運ばせるというアクションに結びつく「自社メリット」
こうすることで、オッサンがレポートするより遥かに楽しいコンテンツになる。荒唐無稽な悪ふざけのようで、緻密な計算がなされているし、嘘のようで嘘ではなく、現実世界と地続きのファンタジーが演出されている(思い込んでいるだけなので嘘はついていない)。
独自性の秀逸な例をご覧いただいたところで、次に典型的な2大誤解パターンを見てみよう。