TVerで広告がしっかりと見られる理由
MZ:コンテンツの質の高さという面以外に、広告媒体としてのTVerの強みはありますか。
城間:テレビ由来のコンテンツということもあり、視聴者の方の広告に対する許容度が高いというのが強みだと思います。広告が入っていることを前提に視聴者は見ているので、広告があるからといってコンテンツを見ない、ネガティブな感情に持つということは他の動画メディアに比べれば少ないと考えています。

また、広告自体のクオリティを高く評価するデータも出てきていて、我々調べでは「動画広告とコンテンツの出来栄えに差がない」「動画広告を自然に見られる」「スポンサーに信頼感が持てる」という項目が他サービスに比べ突出していました。
また、コンテンツの尺が長いほど、広告の許容秒数も長くなるというデータもあります。30分や60分番組など他の動画サービスに比べて長尺のコンテンツが多い点も、広告をしっかりと見てもらえる理由になっているかもしれません。
MZ:ユーザーの視聴環境という点ではいかがでしょうか。
城間:TVerでは広告も全画面で表示されるので、周囲に他のバナーやコンテンツが表示される媒体と比べて、広告注視率が高いというデータが出ています。また、他の動画サービスでは音無しで見るケースも多くあるのに対して、TVerでは音付きで再生される率がとても高くなっています。音と絵が両方見られることが当たり前であるテレビの世界を、TVerの中でも体現できているということではないかと思います。
今後は新たな広告メニューの開発を
MZ:今後のTVerの広告に関する展望を教えてください。
城間:大きく二つありまして、一つはTVerのリーチを拡大することです。これがスポンサー数や取り扱ってくれる広告会社の数に大きく関係してきます。リーチを拡大するために、コンテンツやTVerに参加する放送局を増やすといったことなどに取り組みます。
もう一つは、新しい広告商品の開発です。たとえば、1社提供の番組であれば、広告だけでなく番組本編の周辺にスポンサーメリットのある情報が表示できるバナー枠を設置できるようにすることも可能だと思います。これまではコンテンツベースで出稿先を選んでいただいていましたが、最近では若い層や年配層など任意のターゲットにリーチできるような広告メニューも始めました。こちらは、TVerを初めて利用する時に取っているアンケートデータに基づいてターゲティングしています。
また局によっては、番組とスポンサーがコラボしたオリジナルコンテンツを作っているケースもあるので、そういった形での出稿は今後出てくる可能性があるかもしれません。
MZ:テレビCMとは違った特徴を持つ広告展開ができそうですね。
城間:テレビCMは、多くのリーチを取れるというメリットがあります。一方TVerは、テレビCMと似ているところはありつつも、ネット広告だからこその価値も持っています。テレビ、ネット双方の価値を活かした商品開発をすることで、さらに広告収益を増加させていきたいです。