マーケターに必要な「傷つき力」とは
栗田:「傷つき力」とは、傷つくことを恐れず、見たくないものと向き合う力です。業務や社内外のコミュニケーションの中で、自分が無意識に目を逸らしてしまうことがあると思います。それに対して真正面から見つめ直すことが、非常に重要だと思います。自分に嘘をついてごまかして、今逃げても、それにはまたいつか直面します。であれば早いうちに向き合って傷ついておいたほうがいいと思います。

野崎:そういうことですね。確かに若いほうが、回復力もありますしね。
栗田:その通りです。もちろん、自分だけで立ち直るのが辛いときもあると思いますが、そのときは社内の仲間がいるし、同年代のマーケター同士で励まし合うこともできます。そうやって傷つきながらも前進すれば力は付くし、事業成長を牽引する立場になれるはずです。
野崎:栗田さんにそういったイメージはなかったですが、傷つきながら成長してきたんですね。マーケターであれば、マーケティング感覚を持って嫌な問題ともしっかり向き合い、事業に貢献するべきだと。
栗田:そうですね。もっと言うと、本当に貢献できているかどうか、決めるのは自分ではありません。周りからの評価が真実です。私自身が評価されなくてもいい。事業自体が成長してくれればいいと思っています。
チェスが養ってくれたコミュニケーション力
野崎:そのような利他的な思考はクレディセゾンに入社する前から培われてきたんですか。
栗田:いえ、正直前職時代は自分の手柄を立てることしか考えていませんでしたね(笑)。しかし、クレディセゾンに入社して、オウンドメディアのプロジェクトリーダーとしてメンバーを牽引するうちに、これまでとは異なるモチベーションが湧き上がってきました。
メンバー一人ひとりと向き合ったとき、その人が感じている課題を理解し一緒に解決に向けて動いていくことにすごくやりがいを感じるようになりました。
野崎:私の知る栗田さんは以前から抜群のコミュニケーション力をお持ちでしたが、クレディセゾンに入ってから年々磨きがかかっているように思います。何かトレーニングなどされたのでしょうか。
栗田:クレディセゾンで仕事をしていく中で、先読みのコミュニケーション力が足りていないと感じていたんですが、それを養うのに役立ったのがチェスでした。夫と2人で始めて、負け続けているうちに(笑)、この手を出したらこう返ってくる、相手のこの駒を取ったら自分のこの駒を取られるなと、先の手を読む力が徐々に身に付いてきたような気がします。
チェスでの学びが、社内社外を問わず、コミュニケーションでも活きている気がします。なので、若手マーケターの方にはぜひチェスをやってほしいですね。将棋でも、囲碁でもいいんでしょうけど(笑)。
リスクをとりながら成果を残せるマーケターに
野崎:チェスが出てくるとは驚きました(笑)。では最後に、これから自身がマーケターとして挑戦していきたいことを教えてください。
栗田:このように取材していただいてはいるのですが、自分はマーケターとしてもビジネスパーソンとしてもまだまだだと思っています。というのも、事業に対してインパクトのある成果がまだ出せていないからです。なんの成果も出していない私が取材していただくのはおこがましいんですけど。マーケターというアイデンティティがある以上、やはり成果にコミットしなければいけません。
もっと左脳を鍛えて、経営戦略やキャッシュフローなど、事業が成長していくために必要な要素を学んで実務に落としていかなければいけないと感じています。
一方で、会社からの期待に応えていきたいとも思っています。会社は私に対して、他の人がやってない、リスキーなことにチャレンジしてほしいと考えているはず。業務の理想的な配分としてルーティン7割:イノベーション3割というのを聞いたことがあるのですが、自分の場合はルーティン1割:イノベーション9割ぐらいのバランス感覚がいいのかなと思っています。
これから挑戦しようとしていることは、クレディセゾンにとっても自分にとっても未知のもの。それを理解したうえで任せてもらえている今の環境はすごく恵まれていると思います。この環境を活かし、果敢にチャレンジし続けて事業に貢献したいですね。
野崎:しっかり、締めていただきました。ありがとうございます。栗田さんのキャリア形成軌跡や思考法が少しでも次世代を担うマーケターの参考になれば幸いです。