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ネタに独自性がなければ“初めての人”になれ!ベイジの枌谷さんと考えるコンテンツの質を上げる方法

2019/10/07 08:00

 本連載では、これまで2回に渡って中山流の「コンテンツマーケティングにおける独自性の出し方」を解説してきたが、あくまで個人としてのロジック&思考法であり、普遍的なものかと言われればそうではない。そこで今回は、BtoB領域に詳しく、多方面で独自性あふれるコンテンツを発信しているベイジの代表・枌谷さんに、独自性のあるコンテンツを作るためにどんな工夫をしているのかを伺ってきた。

目次

機能的な独自性を謳うのが困難な2つの理由

中山:今回はズバリ、枌谷さんが独自性のあるコンテンツを生み出すためにされている工夫について伺っていきたいと思います。

枌谷さん(以下、枌谷):承知しました! ただ、私はあくまでWeb制作会社の経営者兼デザイナーであって、独自性のあるコンテンツを専門で研究している人間ではなく、再現性のある方法を熟知しているわけではありません。ですので、個人的に心がけていることを中心に、主観的な見解も含めてお話しますね。

株式会社ベイジ 代表 / ナイル株式会社 UX戦略顧問 枌谷力さん
株式会社ベイジ 代表 / ナイル株式会社 UX戦略顧問 枌谷力さん

 NTTデータ→制作会社×2→フリーランス→起業して現職。得意分野はBtoBマーケ&デザインと業務システム/SaaSのUIデザイン。経営、営業、企画、人事、広報、講師、ブログまでやるなんでも屋だが基本はデザイナー。
Twitter @sogitani_baigie

中山:はい、主観は大歓迎です(笑)。

枌谷:いきなりですが、コンテンツの独自性って、コンテンツ以前に、商材やブランド、企業に独自性がないと生まれないと思うんです。逆に言えば、商材やブランド、企業に独自性があれば、それを自然に表現したコンテンツには勝手に独自性が備わっていく。まずそれが大前提だと考えています。

 じゃあ、コンテンツの独自性の元となる、商材やブランドの独自性とは何か。わかりやすいのは「機能的な独自性」です。うちならではのこんな機能があります、こんなサービスやっています、みたいなのです。それは「差別性」や「優位性」であることも多いですが。独自の機能やサービスについて書けば、確かにそれは独自性のあるコンテンツになるでしょう。ただ、BtoBに限らないですが、今はこれが難しい。

中山:それはなぜ?

枌谷:理由は2つあって、1つ目は「すぐ他社が追随できる」から。たとえばSaaSだと機能が日進月歩で進化するので、機能的な優位性・独自性はすぐになくなってしまいます。

中山:ソフトウェアの機能は常に進化していますもんね。

枌谷:AWSを使ったインフラ構築とシステム開発をしているクライアントさんのお手伝いをしたとき、AWSとそれ以外のクラウドサービスとの比較表を作って「AWSの方が優れています」と訴求するのはアリですか? って尋ねたら、ナシと言われました。なぜなら、AWSのようなサービスは競合も含めて常にアップデートされるので、独自性や優位性は一時的でしかないからです。

中山:たとえばiPhoneのように、他社が追随できない圧倒的な独自性がある製品なら、それを謳えば勝手に独自性あるコンテンツに……なりますかね?

枌谷:iPhoneの独自性はブランドであって、機能ではないですよね。機能に関しては早い段階で追随されました。だから機能の独自性は、盤石ではないんです。機能やサービス内容といったスペックを元ネタに独自性のあるコンテンツを作るのは限界があるわけです。

カルチャー、価値観、歴史、文化こそが独自性の源泉

中山:差別化の難しさの1つ目の理由は「すぐ他社が追随できる」でした。では2つ目は?

枌谷:「BtoB商材は説明が難しい」です。本当に機能やサービスに独自性があったとしても、顧客からすると判断しにくいし、その価値が伝わりにくい。

中山:みんな一緒に見えるし、差異がわかりにくいから?

枌谷:専門的すぎるし、判断基準が複雑なので違いが不明瞭。もしくはどう判断していいかよくわからない。我々がWeb制作のお手伝いをするとき、「ついでにおすすめのサーバー会社を教えて欲しい」と言われることが多いんですが、比較表をお見せしても、ほとんどのお客様が「どう選べばいいかわからない」っておっしゃいます。比較するポイントが多く、条件も複雑すぎて、選ぶ側が混乱するという。

 たとえば、中山さんがWeb制作会社を選ぶとして、ここだ! って自信を持って選べますか?

中山:いいえ……。どの会社も「あれもできる、これもできる」と謳うし、カッコいいサイトを持っているから、目移りしてしまう。

枌谷:「難しい」「伝わりにくい」という点では、SEO会社やマーケティング会社も似ています。伝えようと努力してもなかなか理解されない。そもそも顧客は、比較なんてしたくなく、なるべく意思決定をショートカットしたいのが本心です。

 機能に独自性があったとしても、そこに関心を持つように伝えて、理解してもらうのが、そもそも困難です。説明が難しくて伝わりにくいということは、それを元にコンテンツを作っても、やはり同じなわけです。

中山:機能やスペックでの差別化以外で独自性を出そうとすると、できることは……?

枌谷:奇抜な企画やデザインなどの「表現」でコンテンツに独自性を持たせる、という考え方もありますが、それは本質ではないと思います。むしろカルチャー、価値観、会社の歴史や文化に根差したコンテンツを作ることが、独自性のカギでしょう。

 たとえば創業オーナーの強烈なキャラクターとか。カルチャーや代表のキャラ、歴史はマネできませんよね。これをベースにしたコンテンツがあれば、どんな商材であっても、なんらかの独自性のあるコンテンツを作ることができるはず。

中山:BtoBのコモディティ系企業だと、「うち、特別なものはないんです……」とはなから諦めているケースがありますが、気付いてないだけでめちゃくちゃ資産はあるはず。

枌谷:ないわけはないんですよ。5年や10年、ビジネスが続いてきたのであれば、絶対何かある。会社や業界の中にいると、「競合と機能面で独自性を……」みたいな発想になりがちだけど、顧客にはそれは伝わりにくい。

 ですので、視点を変えて、その会社の持つストーリーを独自性の源泉にすべきだと思うわけです。もちろん、これをマーケティングに活用するには一工夫も二工夫も必要でしょうが、商材の背景に脈々と流れているストーリーに焦点を当ててコンテンツを作る視点を持たないと、マーケティング的に意味を持った「本質的な独自性」は、生まれにくいんじゃないかなと。

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