1つの施策に必要なデータの準備時間は、約380時間!
多くの企業がデータを活用して成果を上げたいと思っているが、データを施策に活用できる状態にするためには、次の4つのステップを踏む必要がある。
1. データ取得
2. データ取り込み
3. データ統合
4. データ変換
具体的には、自社の顧客に関するあらゆる情報をデータ化した上で、CDPやプライベートDMPに取り込み、統合作業を行う。そこから活用可能な状態にデータを変換することで、ようやくデータ活用の準備が整う。一連の作業にどれだけの時間が必要になるのか、計算してみたことはあるだろうか。
三浦氏はまず、「2. データ取り込み」から「3. データ統合」のステップに要する作業工程時間は、平均で約300時間であると明かした。しかも、事業全体ではなく「1つの施策」に対して、これだけの時間が必要だという。
その理由は、Webサイトのアクセスログデータや売上データ、顧客データなど、社内には様々なデータがバラバラに蓄積されているためだ。バラバラのシステム内にあるデータの取り込みや統合は、基本的には手作業で行う必要がある。
具体的には、取り込みたいデータを選別し、不要なデータを削除する。さらに表記揺れを統一し、顧客データテーブルを作成して統合作業を進め、IDを付与する。この作業を経て、ようやく1つのID(1人の顧客)が過去にどのような行動を起こし、今後どのような行動をしていくのかを追えるようになる。
さらに、「4. データ変換」にも、約80時間が費やされている。CDPなどのデータ基盤から、マーケティングオートメーション(以下、MA)やWeb接客などのデータ活用ツールへ出力するための設定を行い、SQLを操作してセグメントデータを抽出。データマートを作成してMAツールやWeb接客ツールにセットする作業だ。
つまりデータマーケティングを行う際は、施策1回につき約380時間もの工数が、本質的ではないデータの準備に費やされてしまう。こうした煩雑なステップこそが、マーケターが作業員になってしまう最大の要因だと三浦氏は強調した。
社内エンジニアや外部に依頼すれば解決できるのか?
マーケターのデータ活用の時間を確保するため、社内エンジニアやSIerにデータ準備を依頼する企業も多い。しかし三浦氏は、そのどちらにもデメリットがあるという。
まず、技術力の高いエンジニアは、このような単調な作業は嫌がる傾向にある。データ準備ばかりを任せてしまうとモチベーションの低下につながり、優秀なエンジニアほど離職する可能性が高くなってしまう。
また、外部委託する場合は莫大なコストがかかる。とあるアパレル企業では、データマーケティングを実施するのに、データの統合や変換工程をSIerへ外注することで、年間約3,000万円以上ものコストが発生していた。外部へデータ活用に必要な作業を依頼するものの、コストがかさんでほとんど利益が出ず、撤退してしまう企業は多い。
データファーストなマーケティングを実施したいのに、そのデータを活用するための準備にリソースをとられてばかりで思うように取り組めない。このようなジレンマを解消するためにはどうすればいいのか。同社は「データ準備そのものを不要にするテクノロジーがあれば、ボトルネックを解消できるのではないか」と考えた。その結果生まれたのが、データマーケティングプラットフォーム「b→dash」の新技術である「Data Palette(データパレット)」だ。