企業のビジョンと市場のズレをチューニングする
――新会社Tune(チューン)の社名の由来は?
坂田:“チューニング”のチューンです。僕が得意なのは、市場と企業のズレのチューニングをすること。Blaboを創業してから8年間、ずっとやってきたことです。生活者インサイトだけでなく、僕自身が持っているネットワーク、グローバル、テクノロジー、そしてマーケティングを総動員して市場と企業、または顧客とブランドのズレをチューニングしていければと思っています。
――Tuneの具体的な事業内容は?
坂田:Tuneは、スタートアップや大手企業のビジネスモデルをプロデュースするスタジオです。大手メーカーに対しては、「モノづくり」を超えた「事業づくり」を実現するために、テクノロジーを活用した事業開発を通じてサポートをしていきます。共同で、オンライン限定のブランドを開発したりいろいろと楽しい仕掛けをしていきたいですね。
今までは商品開発をして店頭に並べることがメーカーの業務でしたが、商品を作っただけでは売れない時代になっているわけで。D2Cやサブスクリプションといった、テクノロジーを活用したビジネスモデルへ転換する重要性も高まり、大手メーカーはモノづくりのビジネスモデル自体を再考するタイミングに差し掛かっています。
そこで、マーケティング・テクノロジー・グローバルの視点から、新規事業創造を支援することで、大手メーカーが抱える課題を解決できるのではないかと思ったんです。コンサルタントしてサポートするだけではなく、必要に応じて出資して共同で事業を立ち上げるなど、ダイナミックな関わり方をしていきます。スタートアップに向けては、事業開発のハンズオン支援を含む投資にも取り組みます。

――大企業のマーケターからスタートアップで事業作りに向き合っている方まで、MarkeZineの読者に向けて、新会社Tuneとしてどんなことを一緒にやっていきたいか、メッセージをいただけますか。
坂田:これまではいいサービスや商品を作れば、事業は自ずと成長していましたが、今後は既存ビジネスの単なる延長では、事業を存続させることすら難しい時代になっていきます。大企業も、スタートアップと同様に全方位で事業存続の方向性を模索し続け、かつ自分たちは顧客にどんな価値を届ける企業なのかを、再定義する必要性があります。
「メーカー=モノ作り」という常識的な定義をリフレーミングして、顧客にどんな価値を届けるために何ができるのかという観点から事業を見ることで、経営層も現場も一気に視座が変わります。
逆に言えば、視座と認知、認識が変わらない限り、人は同じことをやり続けてしまう。ドラスティックに変化を求められる時代だからこそ、商品作りという一部だけでなく、企業全体のトランスフォーメーションに一緒に向き合っていきたい。そんな思いもあって、仲間たちと一緒に日米の二拠点から、Tuneとして新たな挑戦に向き合っていきます。