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江端浩人氏に学ぶ、マーケティングとテクノロジー改革の最前線

88歳、米寿を迎えた近代マーケティングの父フィリップ・コトラーが伝えたいこと

 マーケティングに携わるものであれば、フィリップ・コトラーという名前を知らない者はいないだろう。「マーケティングの4P」を普及させ、近代マーケティングの父と呼ばれるコトラー博士が10月9日、「World Marketing Summit Tokyo 2019(以下、WMS2019)」に参加するため、2年ぶりの来日を果たした。筆者もWMS2019のアンバサダーとして各種イベントに参加してきたので、コトラー博士への単独インタビューを交え、その様子をレポートする。

近代マーケティングの父・コトラー博士が2年ぶりに来日

 World Marketing Summitは、2010年にコトラー教授によって設立されたマーケティングカンファレンスである。今年は東京のほか、16ヵ国で開催される予定だが、その日程は88歳でなくてもかなりハードである。コトラー博士は、10月6日にミャンマー、10月7日にタイ、10月9日に日本、11月15日にカナダ、11月18日にイギリス、11月22日にイタリア、11月25日にトルコ、12月9日に南アフリカ、12月10日にナイジェリア、12月12日にベトナム、2月15日にマレーシア、2月22日にフィリピン、2月25日にパキスタン、2月29日にインド、3月3日にバングラデシュ、3月5日にインドネシア、3月15日にアラブ首長国連邦と、およそ半年に亘り世界各地に赴き、講演を行う予定だ

 筆者は10月8日に行われたレセプションパーティーと、9日のWMS2019、10日のコトラーアワードと延べ3日間、コトラー博士の活躍を目にすることができた。

 今回は幸運なことに、約7分に亘りレセプションディナーの中でコトラー博士の単独インタビューを実施することができた。こちらの内容も後日記事にする予定だが、今回はWMS2019でコトラー博士が語った内容について、いくつかのトピックスを紹介したい。

インタビューに答えるコトラー博士と動画撮影する筆者
インタビューに答えるコトラー博士と動画撮影する筆者

GDPに加えて「人間の幸福度」や「地球環境の健全さ」が経済指標に

 WMS2019の冒頭、コトラー博士は「“理想の社会(Ideal Society)”とは何か」という問いを会場に投げかけた。博士は理想の社会を「飢えや極端な貧困がなく、衛生的な水と環境が用意されており、良い住居と近所があり、教育と医療が無償で提供されること」と位置づけ、そうした社会では“GDP以外の経済指標”が必要であると説いた。なぜなら、GDPは人類や地球に良くないもの(武器など)を生産消費しても上昇するからである。

 博士は利益の指標であるGDPに加えて、「人間の幸福度(People Betterment)」を測るGNP(Gross National Happiness)やGNW(Gross National Well-being)、「地球環境の健全さ(Planet Betterment)」を測る指標を定めるべきと主張した。これらの指標を達成するには、「Common Good (すべての人にとって利益になること)」を行わなければならない。

WMS2019の投影資料より(以下、同)
WMS2019の投影資料より(以下、同)

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この記事の著者

江端 浩人(エバタ ヒロト)

iU大学教授、江端浩人事務所 代表、MAIDX LLC代表、AlMONDO事業顧問

米ニューヨーク・マンハッタン生まれ。米スタンフォード大学経営大学院修了、経営学修士(MBA)取得。伊藤忠商事の宇宙・情報部門、ITベンチャーの創業を経て、日本コカ・コーラでマーケティングバイスプレジデント、日本マイクロソフト業務...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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2019/10/18 07:00 https://markezine.jp/article/detail/32210

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