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やっぱり、母は強い!4人の娘を育てる女性CMOのマーケ・子育て論

ロールモデルはまだ少ない、自らのゴール設定が最重要

――とはいえ、日々どちらもこなしていくには多くの工夫とエネルギーが必要だと思います。仕事をセーブすべきではないかと、悩むことはなかったのでしょうか。

Kastner:仕事と子育てのどちらかを選ばなければ、と考えたことはありません。私にとって両方欠かせないものだということは明らかですし、両立は可能です。

 特にデジタルマーケティングの領域は、オフィスに出勤せずとも進められる仕事が多く存在します。Contentservは世界各国に22のオフィスがあり、400人以上の従業員が働いています。私が現在東京を訪れているのは2年ぶりなのですが、日本のチームとは日頃からオンラインでコミュニケーションをとっていたので、問題はありませんでした。このように、場所に縛られない働き方が可能なことは既に多くの企業が証明しています。

――おっしゃる通り、テクノロジーのおかげで柔軟な働き方が可能になっていますね。

Kastner:はい。だからこそ経営層は、在宅で働きたいという女性にも大きなチャンスを与えるべきだと思います。

 一方で、女性を勇気づけるようなロールモデルがまだ少ないということも事実です。家事と育児の両立に決まったやり方はなく、一人ひとりの女性が自分でゴールを設定し、そこに到達する方法を見つけていかなければいけないのです

 たまに批判的な意見を投げかけられることもありますが、気にしてはいけません。子どもが幸せであれば、それで良いのです。私は「スーパーお母さん」ではないので、たとえば子どものために毎日ケーキを焼いたりすることはできません。それはどんなに頑張っても自分にできることではないため、目標にしてはダメです。

 その代わり、私は私の方法で子どもたちに愛情を注いでいますし、学校の先生は子どもたちを「自立していて、とても社交的」とほめてくれます。このように自分なりのやり方を見つけながら、家族みんなで助け合ってきました。

母親になって身に着けた「脱・完璧主義」と「集中力」

――逆に子育ての経験が、仕事の役に立っていることもあるのでしょうか。

Kastner:たくさんありますよ。母親になって学んだ最も大きなことの一つは、「100%を目指さない」ということです。子育てを始めると、完璧というのは贅沢品であることにすぐ気づきます。日々とても忙しいので、一つのことに執着する余裕はありません。

 それよりも、本当に必要なことに照準を合わせて、80%を目指すほうが良い。私は「Perfection is inefficient. (完璧を目指すことは非効率である。)」とよく言っているのですが、男性・女性問わず、この考え方は重要だと思います。脱・完璧思考は会社の生産性を上げることにも役立ちます。

――子育て中の女性の中には、長時間のコミットメントが難しいことや、他のメンバーよりも早く退勤しなければならないことに申し訳なさを感じている人もいるようです。

Kastner:小さな子どもをもつ母親が仕事を適切に行えないとは決して思いません。まったく逆です。

 私は、子育て中の母親と仕事をするのが大好きです。彼女たちはオフィスで無駄な時間を過ごさず、ものすごい集中力を発揮します。これも、子育てで得られた能力でしょう。

 母親たちは、家で仕事を進めようとしたとき、少なくとも30回は子どもに邪魔をされた経験をもっているはず。だから一瞬で集中するための方法を身に着け、時間を正しく使うことに長けていくのです。もしかすると、ここは仕事をメインとしている男性とは少し違う点かもしれません。女性の働きは、量より質で判断すべきです。

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マーケティングは「女性の仕事」になっていく

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この記事の著者

蓼沼 阿由子(編集部)(タデヌマ アユコ)

東北大学卒業後、テレビ局の報道部にてニュース番組の取材・制作に従事。その後MarkeZine編集部にてWeb・定期誌の記事制作、イベント・講座の企画等を担当。Voicy「耳から学ぶマーケティング」プロジェクト担当。修士(学術)。東京大学大学院学際情報学府修士課程在学中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2019/11/19 08:00 https://markezine.jp/article/detail/32261

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