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マーケティングは「女性の仕事」になっていく

――少し視点を変えて、女性のリーダーシップについてうかがいます。国際労働機関の調査(2018)によると、世界の女性管理職比率は27%であるのに対し、日本は12%とG7で最も低いことが指摘されています。ドイツも保守的で日本と似ているとのことでしたが、こうした状況をどのように捉えていますか。

Kastner:多くの女性が部門のマネージャーレベルに留まってしまっているのは残念なことです。しかし、マーケティングの領域には大きなチャンスがあると思っています

 実を言うと私は、マーケティングは女性の仕事になっていくと考えています。特にデジタル領域はますます複雑化していくため、マルチタスクが得意と言われる女性は向いているはずですし、創造性や柔軟性をもって異なる性質のものを統合するという仕事においても、能力を発揮できるのではないでしょうか。

――なるほど。マーケティング領域で女性のリーダーを増やしていくためには、具体的にどのようなことが必要なのでしょうか。

Kastner:いくつかの方法があると思いますが、私の経験からお話しすると、女性のアプローチは男性とは違うということを意識する必要があります。女性は男性と同じくらい、しばしば男性以上に高いパフォーマンスを発揮しますが、ゴールへの到達の仕方が男性とは少し違います。それを踏まえた上で、経営層は女性を信頼し、思い切って仕事を任せてみることが必要です。

自信をもち、自らを売り込むことがキャリアを拓く

――仕事における男性と女性の違いは、たとえばどんなところに現れるのでしょうか。

Kastner:リーダーシップのスタイルに関して、男性と女性はまったく異なっていますよね。一般的に、男性はより速くゴールにたどり着こうする傾向がありますが、女性はチーム全体を包括した形でゴールに向かおうとします。

 また、男性と女性では、コミュニケーションの方法が違うことにも気づかされます。男性は「あなたにできる?」と聞かれたら、「I will do it. (やります。)」と答えますが、女性はしばしば「I can do it.(できると思います。)」と柔らかい答え方をする。だからといって女性はできないと思っているわけではなく、それがコミュニケーションのスタイルなのです。

 現状ではマネージャーの多くを男性が占めているため、こうした違いをくみ取ってもらいにくいのが歯がゆいところです。しかし日本の男性は細やかな心遣いができる方が多いので、欧州と比べると状況は良いのではないでしょうか。

 同時に、特に若い女性には、自信をもつことと自らを売り込むことは、キャリアにおいてとても大切な要素だということを覚えておいてもらいたいです

――皆が少しずつ勇気を出し、歩み寄ることで、状況は変わっていきそうですね。

Kastner:その通りです。女性が新鮮で異なる視点をもたらしてくれることに、世の中が気づき始めています。SAPやHPで女性役員が登用されていることからも、それは明らかでしょう。

 さらに、デジタル領域のプロフェッショナル人材が不足している状況も、女性の活躍を後押しするはずです。キャリア志向の男性はステップアップを目指して会社を離れてしまうことがよくありますが、よりバランス志向が強い女性は、良い職場環境を整えることで、長く働いてくれる可能性があります。ContentservでCTO(チーフ・テクノロジー・オフィサー)を務めた女性は5年もの間、開発チームを束ねて生産性を高めてくれました。

 子どもをもちたいという願望のために、あまりにも多くの人々がキャリアを諦めてしまうのは残念なことです。私も、Contentservが誰にとっても働きやすい場所になるよう、工夫を続けていきます。一緒に、世の中を良い方向へと変えていきましょう。

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この記事の著者

蓼沼 阿由子(編集部)(タデヌマ アユコ)

東北大学卒業後、テレビ局の報道部にてニュース番組の取材・制作に従事。その後MarkeZine編集部にてWeb・定期誌の記事制作、イベント・講座の企画等を担当。Voicy「耳から学ぶマーケティング」プロジェクト担当。修士(学術)。東京大学大学院学際情報学府修士課程在学中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2019/11/19 08:00 https://markezine.jp/article/detail/32261

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