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顧客体験をAIで変革するキーワードは「顧客理解」と「体験価値」 電通デジタル住岡氏×アドビ安西氏対談

AIがつくり出す未来の顧客体験とは

――まだ実現していないけれど、近い将来にAIで可能になる顧客体験についてお聞かせください。

安西:ひとつおもしろい例として、当社のイベント内で「Sneaks」という、研究開発中の最先端テクノロジーを披露するセッションがあるのですが、7月に公開されたものの中に、カスタマージャーニーの未来予測ができるというツールがありました。

 どういうことかと言うと、これまでのデータから解約の可能性が高い行動パターンが導き出されたときに、解約を阻止するために送るメールを過去のメールから3パターン抽出して、その中からマーケターが選んで解約防止していくというのをコミュニケーションフローの中で考えていきます。

 これまで、どうしても過去のデータを見て施策を考えるしかなかったのを、AIに助けられながら次の施策を試していけるという好例ではないでしょうか。

住岡:エクスペリエンスの観点から言うと、パーソナライズは今はデジタルの世界でしか実現できていないですが、オフラインもオンラインも関係なく、データに基づいて、すべてのチャネルがその人に向けてパーソナライズされていくような世界が実現するのではと思っています。

 今のところリアル店舗は誰が見ても同じ景色ですけれど、今後はオフラインの世界でもオンラインのように一人ひとり見える景色が変わってくる時代が来るのではないでしょうか。興味を持った人が店舗に入ると、ダイナミックに商品の並べ方が変わるみたいなイメージです。

安西:オンラインとオフラインを統合した顧客体験をどう提供していくかは、今後重要なポイントです。

 それと近い話として、ヒースロー空港でフライトまでの動線をARで表示するという実証実験を行った例があります。その中ではフライトに向かう道すがら、その人に合ったお店のレコメンドを出したり、案内表示板をその人の言語に対して変えたりして、最後はフライト情報の掲示板にその人自身のフライト情報を強調表示できるようにしています。

 そんな感じで、マーケターが簡単に設定できるような仕組みができれば、ARを通してリアルな場所におすすめ情報を出したり、レコメンドしたりが可能になります。こうしたレコメンドの裏側はAIがサポートしています。

 現段階では、AIはデータの処理や予測をいかに加速させるかが大きな役割となっていますが、その領域が今後どんどん増えてきて、オフラインも含めて、AIを使った顧客体験を届けられるようになると想像しています。

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この記事の著者

畑中 杏樹(ハタナカ アズキ)

フリーランスライター。広告・マーケティング系出版社の雑誌編集を経てフリーランスに。デジタルマーケティング、広告宣伝、SP分野を中心にWebや雑誌で執筆中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2020/03/12 12:42 https://markezine.jp/article/detail/32416

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