選ばれるサブスクには、哲学やストーリーがある
西井:クラウドソフトウェアの市場は、競合も多いと思います。そのような中、freeeさんが成長を続けている背景には、どんな理由があるとお考えですか。
川西:まずは、freeeのミッションである「スモールビジネスを、世界の主役に。」のもと、スモールビジネスにフォーカスした開発投資を続けてきたことにあります。副業やフリーランスなどの新しい働き方が一般化し、確定申告の対象者が一気に増え、市場が変化するタイミングにビジネスを仕掛けられたことも、大きいのではないかと思います。
また、初期の成長の大きな原動力となったのは、デジタルマーケティングです。経営者や個人事業主に向けたメディア「経営ハッカー」は、BtoBのオウンドメディアとして先駆けで、リード創出にもつながりました。

西井:実は最近、SaaS×サブスクリプションを選ぶ基準として、機能や価格の比較といった従来の判断軸に加え、企業が発信する哲学やストーリーも重視されて始めていると感じているんです。freeeさんは企業の価値観の発信にも、積極的に取り組まれていますね。
川西:とても共感する考え方です。freeeらしい人の価値基準や行動指針を定め、ムーブメントを起こし、楽しんでいくカルチャーを作ってきたことも、私たちの強さだと考えています。
プロダクトの導入にともない業務フローを変えるのは、とても大変なこと。お客様ご自身の「変えていこう」という熱意やブランドへの共感が、成功を大きく左右します。それを引き出し、育てていくことも私たちの務めです。
マーケティング、セールス、カスタマーサポートが一貫して、freeeのブランド体験をお伝えしていく。そのためにも、人材への投資にも引き続き力を入れていきたいと考えています。
西井:サブスクリプションの強いブランドは、実はインナーブランディングから生まれます。働く社員1人ひとりが、ミッションを理解し、お客様に何ができるかを考える。そうした真摯な姿が、お客様から信頼を得ていくのだと思います。本日は、ありがとうございました。