SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

おすすめのイベント

おすすめの講座

おすすめのウェビナー

マーケティングは“経営ごと” に。業界キーパーソンへの独自取材、注目テーマやトレンドを解説する特集など、オリジナルの最新マーケティング情報を毎月お届け。

定期誌「MarkeZine」

第68号(2021年8月号)
特集「ブランドの魅力が伝わる、戦略的な顧客接点」

定期誌購読者なら
誌面がウェブでも読めます

サブスクリプションモデル大解剖

Spotifyにみるサブスクの真髄/「音楽発見」という体験が、ヒットの生み方まで変える大きなうねりに

 オイシックス・ラ・大地の西井敏恭氏が、サブスクリプションを採用する様々な企業のキーパーソンと対談する「サブスクリプションモデル大解剖」。今回は、音楽ストリーミング配信サービスSpotify(スポティファイ)を紹介する。自らもSpotifyのユーザーであり、得られる顧客体験から多くを学んでいると語る西井氏。データドリブンなサービス提供や現在に至るまでのファン拡大戦略をテーマに、日本のマーケティングを統括する井原氏と語り合った。

世界シェア1位のSpotifyが無料プランを提供する理由

スポティファイジャパン Head of Marketing 井原舞氏
スポティファイジャパン Head of Marketing 井原舞氏

西井:私はサブスクリプションのサービスを作る時にいつもSpotifyを参考にしていて、特に「音楽を発見する」というタグラインが大好きなんです。まずは改めて、サービスについて教えていただけますか。

井原:音楽ストリーミング配信サービスSpotifyは、2006年にスウェーデンで創業しました。現在は、約5,000万曲を79ヵ国で配信しており、グローバルの会員数は2億4,800万人。グローバルシェアナンバー1というところまで成長しました。

西井:Spotifyが日本へやってきたのは2016年と、意外と最近のことなんですよね。競合他社が多いサービスですけれども、Spotifyはなぜ、無料と有料の2つの料金プランを用意しているのでしょうか。

井原:世の中の違法ダウンロードを防ぎたいという思いがあり、フリーミアムモデルはサービス設計の前提条件でした。創業当時スウェーデンでは非合法な音楽サービスが横行しており、音楽業界は大きなダメージを被っていました。世界の音楽をいつでも自由に合法的に楽しめ、かつアーティストや権利保持者に対価が支払われるサービスモデルを構築すべく始まったのがSpotifyです。

 無料プランは音楽を聴いている合間にランダムに音声広告が入り、この広告収益から権利保持者に対価をお支払いしています。有料プランは日本では月額980円で提供しており、広告なし、好きな曲順で、オフラインでもご利用いただけます。

西井:その時々の状況に応じて好きな使い方ができる、柔軟なサービス設計ですね。

井原:はい。ユーザーを中心にサービスモデルを考え、ユーザビリティや機能を開発してきました。このフリーミアムモデルというのは、Spotifyの特徴の1つと言えるでしょう。

 他にも、Spotifyはプレイリストで音楽を楽しむというスタイルを率先して広めてきました。大別して3種類のプレイリストが存在します。

データドリブンでプレイリストを最適化

オイシックス・ラ・大地株式会社 執行役員 CMT 兼 株式会社シンクロ代表取締役社長 西井敏恭氏
オイシックス・ラ・大地株式会社 執行役員 CMT 兼
株式会社シンクロ代表取締役社長 西井敏恭氏

西井:なるほど。3種類のプレイリストについて、詳しく教えていただけますか。

井原:1つ目は、社内の音楽エディターが作成するオフィシャル・プレイリストです。最新ヒット曲やジャンル別のプレイリストに加え、時間帯や天候、生活シーン、ライフスタイルをテーマにした「ムード系」プレイリストが豊富な点がユニークだと思います。何を聴いていいかわからないけれど、今の気分や状況にマッチする音楽を聴きたいという時にぴったりです。

 そして、どの曲がスキップされたか、最後まで聞いた人がどのくらいいるかなどのデータを収集し、それらを参考に、エディターが常に曲の入れ替えをしています。

 日本の音楽リスナーは海外に比べ、自ら新たに好きな曲を探しにいくより、大好きなアーティストを軸にして、関連するアーティストや音楽を深く掘り下げていく傾向があります。こうした国ごとの傾向も、プレイリスト作成の際には意識していますね。

 2つ目はパーソナライズプレイリストで、これは、どんな曲を聞いたか、検索したかなどの利用履歴や聴取傾向に基づき、AIのアルゴリズムによって作られるもの。そして3つ目は、ユーザー自身が作成できるプレイリストです。

西井:理想的なデータドリブンマーケティングで、正直うらやましいです(笑)。オイシックスは、野菜や食材などのリアルなモノを扱いますから、お客様が使っている瞬間のデータが取れないのが難しい。本当は、「この前お送りしたニンジンを、使い切っていただけたのだろうか?」といったデータも知りたいところです。モノを扱うサブスクリプションが向き合わなければいけない課題ですが、私たちはユーザーインタビューでデータを取ることで補っています。

 またSpotifyのプレイリストは、音楽の世界を広げてくれますよね。実は私は、学生時代は様々な音楽を楽しむことに積極的だったのですが、大人になってからは知っている曲を聞くばかりになっていました。でもSpotifyを通じて新しい曲を知り、音楽への気持ちが復活したんですよ。

井原:まさに、私たちのコンセプトである「音楽を発見する」体験をしていただいたのですね。

会員登録無料すると、続きをお読みいただけます

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

次のページ
ユーザー拡大は、ファン基盤を固めることから

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • Twitter
  • Pocket
  • note
関連リンク
サブスクリプションモデル大解剖連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

マチコマキ(マチコマキ)

広告営業&WEBディレクター出身のビジネスライター。専門は、BtoBプロダクトの導入事例や、広告、デジタルマーケティング。オウンドメディア編集長業務、コンテンツマーケティング支援やUXライティングなど、文章にまつわる仕事に幅広く関わる。ポートフォリオはこちらをご参考ください。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2019/12/03 08:00 https://markezine.jp/article/detail/32323

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング