SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

新着記事一覧を見る

おすすめのイベント

おすすめの講座

おすすめのウェビナー

マーケティングは“経営ごと” に。業界キーパーソンへの独自取材、注目テーマやトレンドを解説する特集など、オリジナルの最新マーケティング情報を毎月お届け。

『MarkeZine』(雑誌)

第99号(2024年3月号)
特集「人と組織を強くするマーケターのリスキリング」

MarkeZineプレミアム for チーム/チーム プラス 加入の方は、誌面がウェブでも読めます

MarkeZineニュース

EUで日本製アニメの放映時間が最も長いのは「ベルギー」、1日平均4.5時間放映【文化庁調べ】

ヨーロッパにおける日本製アニメの人気

 日本の映画やアニメ、音楽、ゲームソフトなどが海外で人気を博しているが、これらの著作物を違法に複製した海賊版の流通が大きな問題となっている。文化庁は2003年から、権利者が侵害発生国で実際に訴訟などの権利執行を行う際に役立つ実用的な手引書として、台湾、中国、韓国の各国における著作権侵害対策ハンドブックを作成。さらに特別編として、文化庁とイタリア著作者出版者協会(SIAE)監修による「ヨーロッパにおける著作権侵害対策ハンドブック(イタリア共和国編)」を作成、文化庁のサイトで公開した。

 このハンドブックには、イタリアだけでなくEU各国の状況もまとめられている。国別で見た日本製番組の放映時間では、最も放映時間が長いのは「ベルギー」で1,665時間。続いて「イタリア」(991時間)、「ドイツ」(816時間)と続く。ベルギーの年間1,665時間を1日あたりに換算すると約4.5時間となり、イタリアの991時間は1日あたり約2.7時間となる。その多くが、毎日決まった時間に放映されるアニメ番組だという。

 イタリアのテレビでは、日本のアニメ番組が繰り返し放送されており。日本貿易振興機構(JETRO)の調査によると、2006年7月31日~8月6日の1週間で、イタリア全国ネット放送局で放送された全アニメ放送タイトル131のうち、日本製アニメ番組は75タイトルを占め、全体の57%に達している。イタリア地上波各局では新旧さまざまな日本製アニメが放映されており、「Rai 2」では「フランダースの犬」「ふたりはプリキュラ」、「Italia 1」では「星のカービィ」「ドラゴンボール Z」「Dr.スランプ アラレちゃん」、「MTV」では「犬夜叉」「鋼の錬金術師」などが放映されている。

 日本製アニメの人気は映画作品においても同様で、2000年から2005年までにイタリアで上映された日本映画のうち、観客動員数の上位はアニメ映画が占めている。EU各国では人気作品に違いが見られるものの、イタリア、フランス、ドイツ、英国における2005年公開の日本映画1位は「ハウルの動く城」で共通している。

海賊版の月間売上が最高1億円の業者も

 こうした日本製コンテンツの人気を背景とした、海賊版コンテンツの販売も後を絶たない。イタリアで海賊版コンテンツを販売する店舗は、2005年の調査時点では全国で約350。2006年3月に家宅捜索を受けた3店舗のうち1店舗を経営する業者は、2004年時点で毎月2万枚以上の海賊版アニメDVDを販売し、日本円換算で毎月5,000万円~1億円を売り上げていたと見られている。

 さらに、この業者によると、イタリア国内を流通するこの時点での日本コンテンツ(ゲームと音楽を除く)は年間約28億円規模と推測されるという。2007年6月から7月にかけて、イタリア財務警察が海賊版DVDなど8万点を押収し6人を告発したが、この犯罪グループは2005年以降で約30万点の海賊版を流通させ、総売上は300万ユーロ(約4億9,000万円)におよんでいたとされる。

 また、音楽コンテンツについては、IFPI(国際レコード産業連盟)の2006年の調査レポートによると、イタリアでは組織的な犯罪グループによる音楽CDの海賊版が増加。ファイル共有ソフトなどによる侵害も多いが、物理的な海賊版による侵害は全流通の26%で、海賊版による被害額は8,000万ドルとされている。EU各国における音楽の海賊版の流通レベルが50%を超えているのは、ギリシャ、ラトビア、リトアニア、ルーマニアの5か国となっている。

日本の著作権法は「親告罪」、EU各国の多くでは「非親告罪」

 「ヨーロッパにおける著作権侵害対策ハンドブック(イタリア共和国編)」は、イタリアを中心としたヨーロッパの著作物流通状況や各国の著作権侵害についての取り組みについても紹介すると同時に、著作権侵害が発生した場合の対処法も具体的に示している。

 日本の著作権法は親告罪であり、刑事裁判のためには著作権者が捜査機関に告訴する必要があるが、ドイツとオーストリアを除くEU各国では著作権法は非親告罪。このため本来なら著作権者または第三者が侵害の事実を発見した場合には、告訴の手続きをとる必要はなく、警察に告発するだけで刑事事件となる。しかし、警察と信頼関係がない状況では現実的に難しいという。

 警察と協議する中で要請されて告訴状が必要になる場合のために、本ハンドブックでは、イタリアでの刑事事件の流れと必要書類について、日本の権利者が2006年3月にイタリアで刑事告訴をした場合の実例を元に、刑事事件運用の流れと告訴書類一式を具体的に示している。

【関連リンク】
宮崎アニメの秘密が詰まった直筆設計資料を初公開「スタジオジブリ・レイアウト展」
フジTVの人気番組「料理の鉄人」が米国でアニメ化
「ハルヒ」「らき☆すた」を抱える角川グループ、YouTubeの動画識別実験に日本から初参加
慶応大学でフォーラム開催「著作権には何が欠けているのか」、竹熊健太郎、山形浩生の各氏が登壇

「ヨーロッパにおける著作権侵害対策ハンドブック(イタリア共和国編)」(PDF)

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • Twitter
  • Pocket
  • note
MarkeZineニュース連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2008/04/11 22:39 https://markezine.jp/article/detail/3264

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ


イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング