詳細な効果を可視化する、ハーストデータスタジオとは
MZ:2019年9月からはハーストデータスタジオを立ち上げたとのことですが、どういった組織か教えてください。

前西:ハーストデータスタジオは、メディアごとにビジネス展開をしていた現状を打破するために生まれた組織です。ハーストが持つ各メディアのデータを統合し、ユーザーの接触情報などを把握しています。
MZ:ハーストのデータ活用を推進する組織ということですね。現在行っていることを、具体的に教えてください。
前西:ハーストでは、プレゼントキャンペーンや2つのECサイト(「エル・ショップ」、「婦人画報のお取り寄せ」)、イベント、定期購読などを通じて会員情報を取得しています。また、イベントの際には美容に関するアンケートなどを実施し、会員の趣味嗜好を把握しています。
1996年にエル・オンラインを開設したときから収集しているため、現在は70万を超えるID保有数となっています。また、マンスリーで1.5億を超えるPVから得られる行動データも蓄積しています。
そして、これらのデータをもとに行っているのが、効果の可視化です。各ページがどのような影響を及ぼしているのか、また本紙とデジタルの態度変容はどう違うのかなど、ハーストのメディアに出稿することの価値を明らかにしています。
MZ:効果は、どのようにして検証しているのでしょうか。
前西:購買意欲に関するリサーチの実施、商品LPなど特定のリンクをクリックした人の数や読了率、読者が他にどういった記事を読んでいるかなどの分析によって検証しています。
読者のファーストパーティーデータが大きな強みに
MZ:これまでの各媒体を軸にした広告とは変わった提案ができると思いますが、提案する際はどのようなことを意識していますか。
前西:課題のヒアリングと自社の持っているリソースの把握を、これまでよりも意識するようになりました。課題解決をするためにデータを活用する必要があり、データから出てきた解決方法を自社のメディアなどで解決できるかをロジカルに考えるのが我々の役割です。
MZ:ハーストデータスタジオを立ち上げたことで変化したことはありますか。
前西:読者のファーストパーティーデータを持っているという強みができたのは一番大きな変化だと思います。実際の読者を一番理解して、着実かつ効果的に届ける施策をこれまでも行ってきましたが、保有するデータに基づく提案やその結果のより深い理解ができるようになりました。
また、ハーストデータスタジオは社員全体のデジタルに関するスキルアップも担っている組織なので、会社のデジタルトランスフォーメーションがより加速したと実感しています。