「直感マーケティング」に欠かせない2つの要素とは?
このような女性の消費行動の変化に対応した「直感マーケティング」を行うためには大きく2つの要素が必要とされます。1つ目の要素は、女性の欲求にダイレクトに働きかけるクリエイティブ・コンテンツの“手触り感”です。
線画や手書き風ロゴのブームに代表されるように、ハンドメイド風デザインはここ数年のクリエイティブトレンドといえます。テクノロジーによって生み出される無機質なデザインではなく、作り手の思いや息遣いまでもが伝わるような“手触り感”が、今の時代だからこそ女性たちにとって新鮮に映り心を動かすのです。
そしてデザインクリエイティブのみならず、商品コピーや広告メッセージにおいても同じく、この“手触り感”は重要です。丁寧な表現やキレイな言葉よりも、Twitterの「バズコスメ」「バズレシピ」がそのダイレクトな表現でユーザーの直感をゆさぶるように、発信者の本音とリアルな感情が伝わる「手触り感」のあるクリエイティブやコンテンツが直感マーケティングには欠かせません。
そして2つ目の要素は、「欲しい」という直感をアクションへと後押しするための「今これを買うべき」という“必然性”です。Twitterで「バズコスメ」や「バズレシピ」が生まれる大きな要因となっているのが、「私も買った」「私も作ってみた」という他ユーザーのアクションがリアルタイムで可視化されることによる、トレンド感の醸成と評判形成です。
これらが「今これを買うべき」という“必然性”につながり、ユーザーの背中を後押ししているのです。
必然性を生むための偶然性
また、逆説的に聞こえるかもしれませんが、“偶然性”が“必然性”を生むという効果も見逃せません。たとえばTwitterのタイムラインは自分だけのカスタマイズプラットフォームであり、そこに押し寄せる大量の投稿の中で直感的に目に止まった1つの投稿との出会いはその“偶然性”ゆえに運命的なものに感じられます。このこともTwitterの投稿が即時のアクションに結びつきやすいさらなる要因でもあります。
広告主によってあからさまにターゲティングされるのではなく、その情報コンテンツや商品との出会いに“偶然性”があればあるほど、アクションの“必然性”へとつながりやすくなるといえます。
女性の購買行動の後押しをするためには「期間限定」や「ポイントバックキャンペーン」などの限定感やお得感に関する訴求が一般的でした。しかし、認知から購入までが即時に行われる「パルス型消費行動」においては、トレンド感の醸成や評判形成、さらには出会いの“偶然性”の演出といった要素も“必然性”を生むための欠かせないマーケティング手法なのです。
女性の直感に“手触り感”でダイレクトに働きかけ、“必然性”で後押しをする「直感マーケティング」は、従来の「ジャーニー型消費行動」を促すマーケティングとは異なる新たな手法として、今後ますます注目を集めそうです。
