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MarkeZine Day 2025 Retail

上海在住百貨店マンから見た、中国の最新トレンド

中国のミレニアルズに話題 拡大する新型フィットネスジム「SUPERMONKEY」のビジネスモデル

顧客を維持・育成するインストラクターを基点にしたコミュニティ

 一方で課題もあります。固定の会費がなく参加しやすいということは、反面、離脱も容易です。顧客にいかに継続してもらうかが、最大の課題となります。また中国らしい現象として、このSUPERMONKEYのビジネスモデルを真似たフィットネスジムも続々と出現しているので、差別化も大切なポイントです。中国式にSMSやWeChatのメッセージで様々な情報が送られてきますが、私は彼らのリテンション施策の核は別にあると考えています。

 競合と差別化し、SUPERMONKEYを利用し続けてもらうために、一番大切な資産になるのがインストラクターです。スタジオプログラムしかない彼らにとって、容易に模倣できる料金・システム・設備環境のハード面を除いて、コンテンツの要はインストラクター&プログラムです。インストラクター&プログラムが良ければ、顧客はそのインストラクター目当てで再訪します。

 そのために、前述のようにインストラクターにはプログラムに集中できる環境を整えつつ、インストラクターたちはWeChat上に自分がオーナーになったグループをもっています。そこに利用者を招待し、顧客と交流を図っているのです。

 もちろん顧客にとって、最初はそのグループに参加している他のメンバーは知らない人ばかり。ですが、インストラクターがグループのオーナーとなってオンライン上で交流を促し、オフラインのスタジオで実際面会するのです。

 同じインストラクターのプログラムに参加するうちに顔見知りができ、知らなかった人との交流が生まれます。自分一人だったら脱落してしまうけれど、知り合いがいるから行こうというモチベーションが生まれるのです。つまり、インストラクターを中心にファンコミュニティを形成し、それをリテンションの役割に使っているということです。

 とはいえ、それだけではプログラムについて行けず脱落していく人がいるため、最近はさらに小規模な店舗でパーソナルトレーニングを始めています。

日本の24時間ジムとの違い

 日本でも従来の総合フィットネスジムとは別に、近年、無人運営の24時間ジムが支持を集めています。しかし、日本の24時間ジムは、SUPERMONKEYとは正反対で、トレーニングマシンのみで一人で自由な時間に行う方式です。実はSUPERMONKEYも2014年の創業当社は、無人の24時間トレーニング施設の方式を採っていました。しかし、2015年に方向転換し、現在のスタイルを選択、その後拡大を続けているのです(※)。

 私が中国で暮らしてみて感じるのは、中国人は会社や組織に依存するのではなく、最終的には「個」で戦っているということです。もちろん日本でも同じことは言えるかもしれませんが、中国人の思考に触れてみるとその傾向がより強いと感じています。「個」を志向する中国でコミュニティ要素を持ったジムが支持され、反対に「共同」「協調」を志向しがちな日本で「個」のジムが拡大している。私にはその違いが不思議に映っています。

※無人のセルフトレーニング施設も一部残っています。

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この記事の著者

洞本 宗和(ホラモト ムネカズ)

上海新世界大丸百貨 マーケティング部 部長
婦人服のバイヤー、グループのシステム会社でのSE、本社の販促・広告マネジャーなどを経て、17年より現職。個人の活動として、TwitterBlogでは中国の小売・ニュ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2020/01/24 08:00 https://markezine.jp/article/detail/32737

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