日本では考えられない?スタッフや水回りのないフィットネスジム
特徴3:スタッフなし
3つ目の特徴は、店舗にスタッフがいないこと。スタジオプログラムを担当するインストラクター以外、基本的にスタッフは存在しません。無人で運営されています。防犯対策として、店舗の入口には鍵が掛かっています。プログラムを購入するとWeChatで扉の暗証番号が送られてくるので、顧客はプログラムの時間に店舗へ行き、その暗証番号を入力すれば入店できる仕組みです。暗唱番号は購入したプログラムの前後の時間だけ使用できるものになっています。
インストラクターも自身が担当する時間にだけやってきます。出欠確認は、インストラクターが提示したQRコードをスキャンするだけ。店舗内では水等が販売されていますが、支払い用のQRコードが掲出されているので、顧客は自分のスマホでスキャンして支払います。防犯カメラが設置されているので誰も盗みません。徹底した効率化が図られています。

特徴4:水回り設備なし
これは顧客にとってはデメリットになりますが、SUPERMONKEYには水回りの設備がない店舗が多いです。トイレもシャワーもありません。SUPERMONKEYはショッピングセンターなど商業施設の中に出店していることが多いので、トイレは商業施設のものを使用してもらっています。シャワーの代わりとして、濡れタオルが販売されており、必要であればこれもQRコードから購入できます。
汗をかいた後にシャワーがないのは不快に思う顧客が多いはずですが、彼らはそれも割り切っています。なぜなら水回りの設備を諦めることによって、店舗開設の初期投資が抑えられ、かつ、商業施設内の出店場所の選択肢を一気に広げることができるからです。水回り設備が備わった飲食等の専用フロア・区画だけでなく、アパレルなどの物販を想定した区画にも出店できます。その結果、非常にスピード感ある出店を実現しているのです。
これらの“なし”を選択することによって、彼らは一回あたりの料金を低価格に抑えています。プログラム内容によって料金は異なりますが、最も安いもので69元(約1,100円)から提供しています。年に何回行けるかわからない従来型のジムより、自分が行きたい時に自由に行けて無駄がないということで若い人たちの支持を集めています。
友人を媒介に広がる、新規顧客を獲得する口コミの仕掛け
SUPERMONKEYは原則、セールス活動を行っていません。インストラクターは顧客のことを考えてプログラムに集中し、質を高めれば自ずと顧客は増えてくるという考えに基づき、サービスを展開しています。そのため、彼らは新規顧客を獲得するにあたって、利用者の口コミを非常に大切にしているのです。創業者の刻奇はインタビューで、新規顧客の8割が口コミによるものだと答えています。

この写真は私が参加した時のものです。SUPERMONKEYではプログラムの終了後に、インストラクターと参加者全員で集合写真を撮るのがお決まりになっています。そして、後ほどWeChatでこのような写真が送られてきます。この写真に何の意味があるのでしょうか?
彼らの狙いは、顧客の承認欲求をくすぐること。写真を受け取った顧客は、この写真を自身のWeChatのモーメンツ等にアップし、(少し古い言い方になりますが)“リア充”投稿をするのです。実際、私の周りの中国人のモーメンツでも、しばしばこの写真を見かけます。
写真にはしっかりSUPERMONKEYのロゴとブランド表記がされているので、投稿を見た友人はSUPERMONKEYを認知し、友人という最強のメディアを通してブランドイメージが形成されていくのです。