“顧客が自ら開示する情報”が鍵を握る時代に
チーターデジタルはメールマーケティングソリューションを中心に提供してきた企業だが、2019年11月に会社分割によってクロスチャネル・マーケティング・プラットフォーム事業を分離。同年12月には日本法人の経営陣を刷新し、“新生”チーターデジタルとして、新ソリューション「Customer Engagement Suite」を提供した。
イベント冒頭、チーターデジタル ジャパンCMOの加藤希尊氏が登壇し、同ソリューションの根底をなす2つのキーワード「ゼロパーティデータ」「ロイヤルティマーケティング」を紹介した。
ゼロパーティデータとは米国の調査会社Forrester Researchが提唱した概念で、“顧客が自らブランドへ積極的に共有する情報”を指す。セカンドパーティデータ、サードパーティデータなどを通じて顧客を類推・特定しようとするのではなく、本人しか知りえない趣味・趣向といったデータを開示してもらうことで、より効果的なマーケティングが可能になる。
また、これまで企業がロイヤルティマーケティングを行う際、購買や行動といった可視化しやすい側面にはスポットが当たっていた一方、“細く長く”製品を買ってくれるような心理ロイヤルティをもつ顧客とつながりを深めていくのは難しかった。
加藤氏は「2つのキーワードに基づいたマーケティングによって、今まで対象にできなかった顧客の思いに応え、隠れたファンや他の経済圏にいる顧客を自社に呼び込むことも可能になります」と説明した。
2つの概念を体現した新製品とは
2つのキーワードをソリューションに落とし込んだのが、今回日本に提供を開始された顧客エンゲージメントソリューション「Customer Engagement Suite」。エンゲージメント・データ・プラットフォーム、エクスペリエンス、メッセージング、ロイヤルティの四機能で構成され、パーソナライズされた顧客体験、クロスチャネルキャンペーン、ロイヤルティ戦略の実現をオールインワンで支援する。グローバルでは既にケロッグ、シティバンク、レッドブルなどに導入されているほか、日本ではディノス・セシールなどが導入を検討している。
同社 日本法人社長 兼 最高執行責任者の白井崇顕氏は、2つの思想を取り入れたソリューションが、新規顧客に偏りがちなマーケティングアプローチを変えるものになると語った。
「既存顧客を大切にしていく重要性には、誰もが気づいています。しかしそのお客様とは誰で、どのような行動をとっているのかがはっきり見えなかったために、新規顧客偏重の傾向が続いていました。チーターデジタルがもつロイヤルティマーケティングの思想は、日本のマーケターの課題をストレートに解決するものと確信しています」(白井氏)
講演には、米国チーターデジタルCEOのサミール・カジ氏、最高製品責任者のビル・イングラム氏も登壇。両氏は講演終了後、MarkeZineの取材に応じた(本記事3ページ参照)。また、ゼロパーティデータ活用・ロイヤルティ構築支援における、電通デジタルとの協業も発表された。