顧客が求めるのは「自分を知り、尊重してもらうこと」
イベント終了後、米国本社のCEOであるサミール・カジ氏、最高製品責任者のビル・イングラム氏がMarkeZine編集部の取材に応じた。

(右)同社 最高製品責任者 ビル・イングラム氏
――イベントを通じた大きなメッセージは「一人ひとりの顧客をユニークな人として捉えることの重要性」だと受け取りました。
カジ:そうですね。マーケターはかつて顧客をグループ、セグメントとして見ていました。技術的に、そうするしかなかったのです。しかし今は、顧客を一対一の粒度で見ることができるようになっています。
現代の顧客はブランドに対し、自分をしっかり知った上で、尊重してほしいと感じています。自分とブランドとの関係も尊重してほしいし、データやプライバシーも尊重してほしいと思っているのです。マーケターはこの思いに応えて、顧客と最初に接した段階から、彼らが感情的なロイヤルティをもつに至るまで、しっかりと関係を構築していくべきです。
イングラム:ロイヤルティそのものは、それほど新しい概念ではありません。様々なソリューションも提供されています。私たちが成し遂げたいのは、ブランドがその概念をより有効に活用していくことです。
テクノロジーの発展により、ブランドは顧客のメールアドレスや取引履歴、サポート履歴などを一つのデータベースに統合することができるようになりました。しかし多くのブランドは、データを取りまとめはするものの、データ同士をつなぎ合わせて「この取引を行っている顧客は誰なのか」を捉えるには至っていないのではないでしょうか。
当社のミッションはデータをアクションにつなげるソリューションを提供することです。顧客一人ひとりを単一の視点で可視化し、リアルタイムでアクションをとれるよう支援していきたいと考えています。
ゼロパーティデータの価値は、一人の顧客を超えていく
――ゼロパーティデータの有用性について、改めて教えていただけますか。
カジ:想像しやすいのは直接的な価値で、たとえばメールアドレスを教えてくれた顧客にはキャンペーンなどのアプローチをとることができます。しかし効果的なロイヤルティプログラムを通じてゼロパーティデータを取引することは、ブランドにさらなる価値をもたらしてくれます。
たとえば顧客の行動を観察することで、様々な学びが得られます。さらにブランドに愛着を感じている顧客は、自分がどのような体験をしたかを周囲に広め、新規顧客を呼び込んでくれます。つまり顧客自身の経済的な価値を超えて、ブランドに価値をもたらしてくれるのです。
――日本市場への新ソリューション導入にあたって、どのような体制を整えていますか。また、チーターデジタルさんの強みについても教えてください。
イングラム:日本特有の事情を鑑みて、LINEやガラケーで顧客とのコミュニケーションできる機能を追加してきました。私たちは日本にデータセンターを有していますし、インフラ、エンジニアリングの整備も万全です。もちろん、言語のローカライズも継続して行っていきます。
カジ:当社はデータ統合とメッセージング、エクスペリエンス、ロイヤルティの機能を統合し、ブランドがすぐにアクションをとれる製品を展開しています。単一の機能を提供しているソリューションは存在しますが、私たちはすべてを統合して提供している点がユニークであると考えています。またマーケティング領域でも機械学習やAIの活用が進んでいますが、これらの技術にも自信をもっています。
――本日はありがとうございました。