ニューロを用いた改善で広告認知が2.4倍に
続いて中村氏から、テレビCMからスマートフォン動画へのリメイクに、ニューロサイエンスを活用した事例が紹介された。リメイクしたオリジナル版をニューロのスコアを参考に検証したところ、他社のブランドが想起されてしまう部分や、感情関与が低い部分が見つかった。
そこで常に社名のテロップを入れる、ニューロ調査によって示された重要なシーン以外をカットする、機能紹介の文字を真ん中に配置するといった調整を行ったところ、修正版はオリジナル版と比べて、広告認知は2.4倍、安全性に対するイメージは競合比3倍と成果がみられた。
こうした検証を繰り返す中で、中村氏はクリエイティブ制作での大原則として、ユーザーの悩みや想い、そのコンテキストを理解し、コンテンツを作ることで、興味をもってもらうことが重要だと考えるようになったそうだ。
「世の中にコンテンツがあふれている中、グッドじゃ見ない、グレートじゃないとそもそも見てもらえません。企業目線だけで『こうします』と発信しても難しい時代です」(中村氏)
辻本氏も「自分にとって必要な情報と捉えてもらう重要性は、ニューロの指標、中でも記憶のスコアに如実に反映されている」と説明した。たとえば人気のタレントを起用した広告を制作し、感情関与のスコアが上がったとしても、自分にとって関係がない情報として処理されてしまうと、記憶のスコアは上がり切らないという。
中村氏は対談の締めくくりとして、「広告を科学的に作ることによって、同じ広告費をかけたとしても、その効果は2倍、3倍と変わってきます。さらにデジタルの場合はオークションシステムをとっているため、質の高いクリエイティブはより安価なCPAで配信できます」と、インパクトの大きさを語った。辻本氏も、「ニューロサイエンスの知見がビジネス成果に結びつくことが増えているので、今後も様々な業種・業界の方とワクワクするような取り組みができたら嬉しいです」と会場に呼び掛けた。
本イベントではこのほかにも、ペットボトルのパッケージ改善にニューロマーケティングを利用したダイドードリンコとニールセンによるプロジェクト紹介が行われた。