SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

新着記事一覧を見る

おすすめのイベント

おすすめの講座

おすすめのウェビナー

マーケティングは“経営ごと” に。業界キーパーソンへの独自取材、注目テーマやトレンドを解説する特集など、オリジナルの最新マーケティング情報を毎月お届け。

『MarkeZine』(雑誌)

第107号(2024年11月号)
特集「進むAI活用、その影響とは?」

MarkeZineプレミアム for チーム/チーム プラス 加入の方は、誌面がウェブでも読めます

業界キーパーソンと探る注目キーワード大研究

「“想いが同じ”コミュニティと組んで広めていく」BOTANISTを育てた今井氏が飲料ブランドを展開

 「BOTANIST」「SALONIA」をはじめ様々なブランドを成長させてきたI-neの今井氏。現在日本コカ・コーラと合同会社Endianを設立し、リラクゼーションドリンク「CHILL OUT」を展開中だ。本記事ではコンセプトの着想からマーケティング戦略までをインタビュー。“共感しないと買われない”時代に、ブランドのWHYを伝え、商品を届けていくための取り組みを教えてもらった。

言葉から着想したコンセプトを、データで育てる

CHILL OUTとは?

「安らぎを促しパフォーマンスをサポートする」をコンセプトとした、リラクゼーションドリンク。ヘンプシードエキスやテアニン、リラックス効果があると言われるGABAなどを配合。2016年にI-neから発売され、2019年7月、同社と日本コカ・コーラの合同会社Endianにブランドが引き継がれた。

――まず「CHILL OUT」が生まれたきっかけを教えてください。

今井:ストレスが少なく、チルでクリエイティブでポジティブな世界創りに貢献するようなブランドを作りたいという思いをもっていました。ブランドの誕生は2016年ですが、以前から音楽をやっている仲間たちの間では「チルする」とか「チルアウト」といったワードが浸透していて、好きな言葉だなと

 ちょうどその頃、米国でリラクゼーションドリンクという市場が形成され始めていたのを、I-ne取締役の杉元がキャッチしていた背景もありました。

 情報過多の社会で「エナジーを入れて更に頑張るぞ」という考え方もある一方、良いアイデアは、肩の力を抜いて、心にちょっとした緩和が生まれた状態のほうが閃きやすかったりもします。そういう考えを表現するために、ブランドを立ち上げることにしました。禅やマインドフルネス、瞑想、足るを知るという価値観にも近いですね。

――プロダクトを用意して名前を付ける、という順序ではなく、言葉を起点にブランドが始まっていたのですね。今井さんはこれまでも「BOTANIST」など様々なブランドに携わっておられますが、どのように着想を得ているのでしょうか。

今井:データを基にアイデアを出すより、主観から着想することが多いかもしれません。自分たちが欲しいけれどまだないものを作るため、生きる中で浮かんだ気づきやアイデアを裏付けるためにデータを使っている感じですね。そうやって生まれたブランドや商品のほうが、圧倒的にパワーがあると思います。

Endian CEO I-ne 取締役 兼 ブランディング本部本部長 今井新氏
Endian CEO
I-ne 取締役 兼 ブランディング本部本部長 今井新氏

小さく試してニーズに応えていく

――「CHILL OUT」のターゲットはどんな方々なのでしょうか?

今井:基本的には、チルしてパフォーマンスを高めたい方全員ですが、現在は特にデジタルワーカーやクリエイティブワーカーにターゲットを絞っています。まずは相性の良さそうなコミュニティから広げていこうと、自動販売機を使って様々なロケーションに「CHILL OUT」を置いて調査をしてみたところ、一番需要が高かったのです。他には工事現場の方や予備校の冬期講習中の学生の方にもよく飲んでいただいていました。

――調査を行いながら、改善を続けているのですね。

今井:はい。僕たちは小さく試すスタイルをとっているため、販売方法に限らず、商品そのものの改善にも比較的取り組みやすくなっています。たとえば3月から発売するパッケージは、「リラクゼーションドリンク」とカタカナで表示することにしています。“relax”は馴染み深い言葉のため視認性が良いのですが、“relaxation”になった途端、直感的にわかってもらいにくいということが、売り場で検証してわかってきました。

 また、SNSやECサイトのレビューを見ている中で、「ポジティブな効果があるエビデンスを示すことも大事だよね」ということも見えてきて、九州大学医学部発のベンチャー企業Universal Mindさんと組んで、脳神経科学による効果検証の共同研究を進めています。

 これまでは、長い時間をかけて多くの調査を行った上で商品を発売するブランドが多かったと思いますが、いざ市場に出してみると、既にレガシーになっていたり、改善すべき点が見えても、なかなか後に引けない難しさもあります。小さくスピーディーにスタートし、消費者とコミュニケーションをとる中で必要な要素を見出し、改善を重ねていくというやり方も、正解なのではないかと思っています

会員登録無料すると、続きをお読みいただけます

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

次のページ
“共感できないと買わない消費者”にどう届けるか

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
関連リンク
業界キーパーソンと探る注目キーワード大研究連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

蓼沼 阿由子(編集部)(タデヌマ アユコ)

東北大学卒業後、テレビ局の報道部にてニュース番組の取材・制作に従事。その後MarkeZine編集部にてWeb・定期誌の記事制作、イベント・講座の企画等を担当。Voicy「耳から学ぶマーケティング」プロジェクト担当。修士(学術)。東京大学大学院学際情報学府修士課程在学中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2020/03/23 07:00 https://markezine.jp/article/detail/32889

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング