※本記事は、2020年2月25日刊行の定期誌『MarkeZine』50号に掲載したものです。
マーケティングから放送の世界へ
讀賣テレビ放送株式会社 東京支社 営業局 東京営業センター ビジネス開発部 兼 東京営業推進部 帖佐祐樹(YukiChosa)氏
2009年に、新卒でベネッセコーポレーションへ入社し、進研ゼミ小学講座のマーケティングを担当する。2012年にはアサツーディ・ケイへ転職、日本テレビ系列局のタイム担当を経て、2014年プレゼントキャストへ出向。TVerの立ち上げや、gorin.jpの運用に関わる。2017年に帰任し、同年の秋にTVISION INSIGHTSへ。営業部長として、同社の成長を支えた。2019年11月より、現職。
――帖佐さんは新卒でベネッセに入社され、ダイレクトマーケティングに関わっていたそうですね。
ベネッセでは、進研ゼミ小学講座のマーケティングに関わる小学生営業部に配属され、1年目は小学5年生、2年目以降は小学1年生を担当しました。この部署では、新規の入会者数と次学年への継続を最大化する様々な施策を行います。おなじみのダイレクトメールを中心に、SPツールの制作やWebのプロモーションなど、企画立案から実行までをすべて受け持ちました。特に小学校入学時は、大学受験までの継続的な学習機会を提供する同社にとって、重要な顧客接点です。保護者へのアプローチだけでなく、ダイレクトメールにDVDとその映像が3Dに見えるメガネを同封するなど、お子さんが喜ぶ仕掛けも実施しました。サンプルのワークに「おもしろい」「楽しそう」などの成功体験を込めたり、「友達もやっているよ」といった情緒的な訴求も含めたプロモーションを展開することで、新規の会員増につなげていました。
そのうちに、もっと幅広い領域のマーケティングに関わり、対面営業のスキルも伸ばしたいと考え、2012年にアサツーディ・ケイ(以下、ADK)へ転職しました。ADKでは、日本テレビ系列局のタイム担当になりました。レギュラー番組のスポンサー広告のバイイングに関わるタイム担当の役割は、テレビ局と広告会社、そしてクライアントをつなぎ、良い関係を築いてビジネスを成長させること。とても、コミュニケーション力が求められる仕事ですね。また、タイムだけでなく、クライアントと放送局と一緒に、1社提供番組やミニ番組なども企画しました。
――2014年には、プレゼントキャストに出向されました。どのようなお仕事を?
プレゼントキャストは、民放キー局5社と電通、博報堂DYMP、ADKと東急エージェンシーの共同出資で設立された会社です。TVerの立ち上げに関わり、アプリの開発や視聴履歴データを用いた番組レコメンド機能の設計などを担当しました。また、ちょうど2016年のリオデジャネイロオリンピックが重なり、オリンピック公式競技動画配信サイトgorin.jpも運用しました。他の広告会社や放送局の方たちと一緒に仕事ができ、とてもおもしろかったですね。
その後、2017年の4月にADKへ戻り、放送に関連する動画広告のセールスを担当したのですが、プレゼントキャストでの経験から、テレビセールスの課題を感じるようになったのです。テレビの広告は、視聴率をベースに、話題性など定性的なデータを組み合わせてセールスします。つまり、オンライン広告に比べて圧倒的に定量データが少ないんです。クライアントはデータドリブンマーケティングへとシフトし、あわせてNetflixが日本でサービスを開始したり、AbemaTVのダウンロード数が伸びていたりと、配信ビジネスが盛り上がりを見せ始めた時期でもありましたから、「既存の地上波ビジネスだけでは立ちゆかなくなってしまうのではないか?」という焦りを、リアルに感じていました。
――事実、テレビに投資される広告予算は緩やかに下がっています。
そうですね。時代の流れから考えても、おそらくここからテレビ広告が大きく成長することはないかもしれません。でも私は、テレビが好きで、テレビビジネスに長く関わっていきたいと強く思うようになっていました。そこで、番組やCMの価値を数字で定量化して、テレビの隠れたポテンシャルを伝えるために、データに強くなりたいと考え、TVISION INSIGHTSへ転職しました。
TVISION INSIGHTSは、「誰がどのようにテレビを見ているのか?」を数値化した視聴質データを計測・提供する、ベンチャー企業です。入社した当時は、社員数10名ほどの規模でしたが、在籍していた2年間で取引先が4倍に増え、売上も倍増し、組織も大きく成長しました。ベンチャーへの転職はチャレンジでしたが、個々の裁量が大きくて決定スピードが速いぶん、自分自身もスキルを上げて貢献したいと考えていましたので、その成長の一翼は担えたと思っています。