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ファンに届けたテレビCM 人気ゲームアプリ「タガタメ」4周年プロジェクトに迫る

 gumiのゲームスタジオStudio FgGが運営するゲームアプリ「誰ガ為のアルケミスト(タガタメ)」は、2020年1月に4周年を迎えた人気タイトルだ。昨年の12月から4周年プロジェクトを仕掛け、テレビCMやオンラインの生放送、ファンミーティングなどの多様なプロモーションを展開し、新規ユーザーの獲得やDAUの向上、売上へと結びつけている。タガタメのリリース時からデジタルマーケティング支援を続けるD2C Rの担当者とStudio FgGのマーケ担当者4名に、プロジェクト設計のポイントやプロモーションの成果について聞いた。

4周年を迎えた人気ゲームアプリ「タガタメ」

――はじめに、皆さまの担当業務を教えてください。

仁田:Studio FgGの仁田です。スタジオで開発・運営しているオリジナルタイトルにおけるプロデューサーのビジョンを実現するための、マーケティング戦略の設計と実行から、オンライン・オフライン問わず、幅広いプロモーション施策に関わっています。ときには、イベントの列整理なども行いますし、ユーザーとのコミュニケーションポイントすべてが、担当領域です。

冨永:同じく、Studio FgGの冨永です。仁田の特命アシスタントとして、業務サポートのほか、広告運用、広報まわり、イベントのグッズ製作、プロモーションムービーやキャラクターソングの制作進行など、クリエイティブを軸とした業務に関わっています。

gumi Studio FgG Promotion Section / Manager 仁田俊秀氏(写真左)

広告業界、大手外資系マーケ、電鉄系グループ会社を経て、2016年より現職であるFgGプロモーションのマネージャーに。ファンキル、タガタメの広告、広報をはじめ、PV、イベントやグッズ等あらゆるプロモーションの統括から現場まで全方位で担当。

gumi Studio FgG Promotion Assistant 冨永美咲氏(写真右)

大学卒業後、アニメーショングループ会社にて広報、イベント運営などに従事した後、2019年よりFgGにてプロモーションを担当。パブリシティやクリエイティブを軸にCMからキャラソンまで幅広くプロジェクトを推進。

――続いて、D2C Rのお2人も、お願いします。

川合:D2C Rのゲーム営業部で、gumi様を担当している川合です。D2C RはアプリやWebなどのデジタルマーケティング支援の会社で、タガタメのリリースから現在に至るまでオンライン広告に関わっております。私は、営業担当としてオンライン広告全般のプランニング、それにまつわるクリエイティブディレクションを行っています。

渡邊:D2C Rの渡邊です。演出構成から制作まで幅広く、動画制作のクリエイティブデザインを担当しています。今回は、タガタメのテレビCMの制作に関わりました。

D2C R ゲーム営業本部 川合章友氏(写真左)

大学卒業後、マーケティングリサーチ会社を経て2017年 D2C R入社。ゲーム営業部にて、Web広告全体のプランニングからクリエイティブディレクションなどを担当。

D2C R 動画クリエイター 渡邉伊織氏(写真右)

大学卒業後、映像制作会社のデザイナーを経て、2018年よりD2C Rの映像デザイナーに。Web広告、PV、CMなど幅広く制作担当しディレクションも手掛けている。

オン・オフの多様なプロモーションでユーザーの熱気を継続

――それでは、タガタメの4周年プロジェクトについてうかがいます。まずは、どのようなプロジェクトなのか、教えてください。

仁田:2016年1月28日にリリースした、本格タクティクスRPGの「誰ガ為のアルケミスト(タガタメ)」は、海外配信を含めて1,100万DLを突破している長寿タイトルです。ゲーム性の高さだけではなく、ドラマティックなストーリーとキャラクターの魅力が人気でして、特にプロデューサーの積極的に様々な形でユーザー様に向けてタガタメをお届けしようという戦略の下でアプリを軸に小説、劇場版アニメーションの公開、舞台と多角的に展開しています。

冨永:周年のプロジェクトは、ユーザーとゲームの運営にとって、とても大切なイベントです。そのポイントは、周年を迎える当日だけを盛り上げるのではなく、前後に渡って継続的なムーブメントを作ることです。

 タガタメ4周年プロジェクトは、リリース日であり、ゲームストーリーに大きな更新をかける1月28日を最初の山場と捉え、まず昨年12月に、公式YouTubeチャンネル「タガタメチャンネル」の生放送にて、事前告知を行いました。そして、カウントダウンでファンの気持ちを高めて周年当日を迎え、2月1日にファンミーティング、そして2月中旬にテレビCMの放送(首都圏・関西・福岡)とOOH(新宿京王線、札幌、仙台、名古屋)を展開しました

――長い期間、ファンの盛り上がりが続くように、タイミングを狙ったプロジェクト設計をされていますね。

仁田:よりビジネス的な観点からお話しますと、4周年プロジェクトは新規ユーザーの獲得と継続ユーザーのDAU向上をKPIとしています。新規ユーザーの獲得は、過去のデータと広告予算からD2C Rさんとシミュレーションし、プランニングを行います。1月と2月では一気に新規ユーザーを増やすフェーズと考え、3回ほど広告予算と施策の山場を作りました

冨永:2月からは、イベントやテレビCMなどで、継続ユーザーには続けてもらうこと、休眠ユーザーにもあらためて周年を訴求していく戦略を取っています。実際にファンミーティング後は、休眠ユーザーの復帰が増えたり、継続率も高くなったりと、売上への反映が見られています。

 この流れを止めることなく、2月中旬からはテレビCMとOOHを展開し、ユーザーの感情に訴求し続けることとさらなる新規ユーザーの積み増しで、ゲーム全体のユーザーベースやDAU向上をロングスパンで維持していきました。

テレビCMは、作品を愛するファンのために

――続いて、4周年プロジェクトにおける、テレビCMの役割を教えてください。

仁田:前提としてテレビCMは、複合的なプロモーションの中の、1つのパーツと考えています。そのうえで、2つの役割がありました。

 1つは、これまでタガタメを応援してくださっている既存のユーザー様にも向けたCMだったことです。感情のKPIと呼んでいるのですが、自分の好きなゲームが4周年を迎えて、気持ちも盛り上がっているところにテレビCMが流れていたら、遊んでいる方の感情はさらに高まります。数値化できない部分ではありますが目には見えないKPIをもう一つ意識しています。また、ログイン率が低いユーザーや、休眠ユーザーにも、もう1度プレイしていただきたいと考えていました。

冨永:ユーザーの皆さんへアンケートを行うと、「テレビCMを見たい」とおっしゃる方は多いのです。「なぜファン層へわざわざテレビCMを?」と思われるかもしれませんが、好きなゲームのテレビCMは、流行を証明するものであり、新規ユーザーが増える期待感や運営側の力の入れ方が伝わりますので、ユーザー様の満足度が高まるのです。

仁田:テレビCMのもう1つの役割は、オンライン広告のKPIの後押しです。オンライン広告のみで大量の新規ユーザー獲得を目指すと、CPIの効率が悪くなる傾向があります。しかし、テレビCMやOOHなどのオフライン広告でリーチ領域を広げ、接触回数、フリークエンシーを高めると、媒体によっては想定CPIが大きく改善される、間接的な効果が見られます。数字をもとに確実に言い切れるわけではないのですが、相応のオンライン予算を投下する勝負機はテレビCMにはKPI全体を改善する役割も意識し出稿計画と連動させています

 これはそれぞれの方の考え方があると思いますが、私はここまでの経験で新規リリース時を除いて、テレビCMは既存ユーザーだけでなく認知ユーザーをプッシュする役目もありますし、逆に特にターゲットがセグメントされるプロダクトはテレビCMだけで新規ニーズを起こし、購買やアクションにつなげるのは、難しいのではないかと考えています。

制作期間10日でテレビCMを制作できた理由

――今回、なぜデジタルマーケティング専門のD2C RへテレビCMの制作を依頼されたのでしょうか。

仁田:スピーディーな制作体制と、タガタメとユーザー感情への深い理解です。じつは、テレビCMの企画が具体化したのは、1月20日頃でした。また、2月1日のファンミーティングの場でテレビCMの初公開を予定していたため、制作期間は10日ほどしかなかったのです。

冨永:それでもスタジオのマーケとして諦めたくなかったので「作品への理解が深く、私たちと同じ目線で考え、スピーディーに作り上げてくださるのはD2C Rさんしかいない!」となり、お願いしました。

――制作日数が大変短い中でしたが、D2C Rでは、どのような工夫をし、制作されたのでしょうか。

渡邊:まずは、冨永さんが描かれた絵コンテをベースに考えました。スキップができる動画広告の場合は、目線を1秒止めることも難しいため、冒頭0秒で注意を引きつけるメインの情報を設計します。一方テレビCMは、じっくりと見ていただけますから、起承転結のストーリー、世界観の訴求、そして「何が起きるんだろう?」とユーザーが喜ぶような内容を重視しました

実際の絵コンテ
実際の絵コンテ

川合:また、これまでタガタメの広告クリエイティブを制作してきたこともあり、ユーザーに刺さるクリエイティブの傾向も把握出来ておりました。それらの経験を今回のCMのデザインや世界観へ活かしています。

仁田:D2C Rさんにお願いして1番良かったと感じたのは、ゲームアプリのテレビCMにとって最も大切な、ゲーム画面のシーンです。私たちが具体的に指定しなくとも、既存ユーザーが納得し、新規ユーザーにも心に残る、ゲームの世界観を伝える最適なシーンとセリフを検討している間に自主的に提案してくださいました。もちろん業務として助かったのですがそれ以上にそのシーンは、本当にゲームのことがわかっていなければ、今回の訴求点が理解できていなければ提案いただけないものでしたので、チームとして取り組めている一体感と安心、信頼を再確認できました。

テレビCMの間接効果を実感

――それでは、テレビCMの効果や反響について教えてください。

冨永:2月のファンミーティングで初めてCMを公開したとき、時にはファンだからこその厳しいお声をいただくのですが、大変納得感をもって喜んでいただくことができました。タガタメを盛り上げていくという運営の決意をファンの皆さんに届けられましたし、熱量が上がった実感がありましたしその後のKPIにも継続率改善などが見られました。

――オンライン広告には、どのような影響がありましたか。

川合:テレビCMの放送時期は、新規ユーザーの定着化を狙ったゲーム内施策が予定されていたため、オンライン広告の配信量を増やしています。その結果、テレビCMの放映期間に新規ユーザーの獲得を最大化でき、DAU最大化に貢献することができました

仁田:また、分析が難しいのですが、テレビCMを放送することでCPIのベースが平常時より下がる仮説があります。それぞれ媒体別にimpを目的にしていたりCVやROASを目的に分けているのですが、いずれの値もシミュレーションを大きく上回る効果があり、今回の件も含め、テレビCM放送時には各媒体で想定CPIの1,000円くらい下げる実績が出ているのです。もちろん綿密な連動設計や事前の学習設計などすべて計画が必要ではありますので、ただ同時期に放送するということだけでは成し得ないと思います。

――D2C Rでは、普段からゲーム内施策や他プロモーションとの連動を考えた広告プランニングを行っているのですか。

川合:そうですね、他IP作品とのコラボや周年イベント、また広告費を投資して新規獲得や売上を伸ばすときは、オフライン広告とオンライン広告の連動を意識しています。ゲーム内の盛り上がりや複数媒体で展開することによる広告露出量の増加などによって、最適なCPIで進めている実感があります。

チームとして同じ世界を見ていきたい

――最後に、4周年プロジェクトの感想や、今後の課題、展望などをお聞かせください。

仁田:オンライン広告のKPI分析に力を入れたいですね。コラボ広告実施時やGW期間中の他社様の出稿が重なるなど市場環境の影響について最適なシミュレーションや計画に活かせるように最近のミーティングの議題や調査内容にあがっています。攻めるべき時に獲得することはできているので、より精度を上げる最適な広告戦略と計画を研ぎ澄ませていきたいと考えています。

 そしてユーザーベースを維持していくためには、目に見えているKPI以外の感情を動かすことが大切です。プロデューサーの今泉は想い出作りであったりオフラインのコミュニケーションも有効な手段と考えて大切にしています。4周年プロジェクトでテレビCMやOOH、イベントと、横断的なコミュニケーションを実施し、その成果をあらためて実感しました。他タイトルでもキャラクターソングだったりオフラインのコラボ企画、グッズ開発なども、ファンとのコミュニケーションポイントです。一部はそういった活動の中でもD2C Rさんには関わっていただき、引き続き同じ世界を見ていきたいです。

冨永:普段から、D2C Rさんのクオリティやスピード感に助けられることが多く、私たちのタイトルや戦略をご理解いただいていると感じています。これからも良いパートナーとして、ファンの皆さんへ届くプロモーションをオンライン、オフライン問わずご一緒することで実現していきたいです。

渡邊:今回のプロジェクトは、オンライン広告だけでなく、テレビCMの制作まで担当でき、とても楽しかったです。作り手として様々な表現に関われることは、楽しく、やりがいがあります。これからも、ご評価いただいているクオリティやスピードの質を高め、新しい挑戦へご一緒に取り組んでいくチームとしてご支援できればと思います。

川合:オンライン広告は、今回のようにクライアント様の全体施策と連動した広告戦略を実行することで、より実績を上げることができます。仁田様がおっしゃったように、広告分析を進め、再現性のある施策の設計、広告効果の向上に努めていきたいです。また、今回のようなクリエイティブ面でもマーケティングパートナーとして、サポートさせていただきたいと思います。

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この記事の著者

マチコマキ(マチコマキ)

広告営業&WEBディレクター出身のビジネスライター。専門は、BtoBプロダクトの導入事例や、広告、デジタルマーケティング。オウンドメディア編集長業務、コンテンツマーケティング支援やUXライティングなど、文章にまつわる仕事に幅広く関わる。ポートフォリオはこちらをご参考ください。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2020/06/23 10:00 https://markezine.jp/article/detail/33103