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スポーツ×デジタルマーケティングの現在位置を探る

地道な地上戦と周囲の巻き込みで満員達成!Bリーグ「茨城ロボッツ」のマーケティング戦略に迫る

 プラスクラスの平地氏とともに、スポーツ業界のマーケティングの現状と課題、今後について探る本連載。今回は、スポーツ総合サイト「スポーツナビ」が主催する「スポーツPRカンファレンス」にて優秀賞を受賞した、Bリーグクラブの茨城ロボッツにインタビュー。同クラブが新ホームアリーナオープンに合わせて行った、地道だが効果的な地域に根差した集客施策が明らかになった。

1度しかないオープニングゲームを多くの人と体感する

平地:今回はBリーグの茨城ロボッツが新ホームアリーナ「アダストリアみとアリーナ」のオープニングゲーム時に行った集客施策についてインタビューをしたいと思います。現在同クラブの広報をしながら、新アリーナオープンに向けたマーケティング施策を統括していた森岡さんに話をうかがいます。

 まず、今回の「アダストリアみとアリーナ」で行われたオープニングゲームの集客に力を入れた理由を教えてください。

森岡:一番大きな理由としては、「アダストリアみとアリーナ」のオープンという一度きりの「はじまり」のタイミングで、地域の方並びに我々にとって特別な体験を提供したいと考えたからです。

 「アダストリアみとアリーナ」は茨城県でも最大級のアリーナで、地域の方も注目する施設です。そして、今回のオープニングゲームは新アリーナのこけら落としでもありました。このとてもめでたい1日が特別な日にできるかどうかで、クラブの今後の集客にも影響してくると考え、今回の施策を立案しました。

株式会社茨城ロボッツ・スポーツエンターテインメント
コンテンツプロモーショングループ マネジャー/広報担当 森岡 礼佳氏

 コンテンツプロモーショングループのマネジャーとしてクラブのブランディング周りを担当しながら、広報も担う。「アダストリアみとアリーナ」のオープニングゲームの集客に関してはプロジェクトマネージャーとして統括。

平地:具体的な集客目標などは決めていたのでしょうか。

森岡:収容人員である5,000人を満員にすること、所属しているB2の来場者記録を塗り替えることです。以前の最高記録は、2017年4月30日に熊本県立総合体育館で行われた熊本ヴォルターズと広島ドラゴンフライズの4,899人。5,000人を達成すればB2の記録も塗り替えられると思い、この2つを目標指標として置いていました。

求められたのは徹底的な地上戦

平地:5,000人到達という大きな目標を達成するために、どういったことを行ってきたのでしょうか。

株式会社プラスクラス 代表取締役 平地 大樹氏

 Webコンサルティング会社プラスクラス代表。プロバスケ選手引退後、人材業界を経験し、Web業界へ。営業活動一切ナシのWebコンサル事業をプラスクラスとして収益化し、現在はプラスクラス・スポーツ・インキュベーション代表として、スポーツ界にWeb/ITを取り入れることを推進している。

森岡:オープニングゲームということもあり、アリーナのネーミングライツを取得しているアダストリア様協力のもと、ご来場いただいた先着5,000名の方に記念のTシャツをお配りするといったこともしていました。ただ、我々も長いリーグ戦の中でオープニングゲームにかけることのできる予算は限られています。

オープニングゲームで配られた「2019アリーナオープニングゲーム記念Tシャツproduced by ADASTRIA」
オープニングゲームで配られた「2019アリーナオープニングゲーム記念Tシャツproduced by ADASTRIA」

森岡:そのため、最も重要な施策として置いていたのは、徹底した地上戦です。

平地:地上戦とは、具体的にはどういったことでしょうか。

森岡:たとえば、ロードサイドの屋外広告や水戸駅周辺の交通広告の出稿量を通常より増やしました。茨城という土地柄上、車で移動する方も多いのでデジタルよりもリアルの広告が効いてきます。そのため、シンプルに4月6日にオープニングゲームが行われることが伝わるクリエイティブを、様々なタッチポイントに仕掛けていきました。

平地:確かに、首都圏よりも車で移動する方が多いので、そういった施策は効果的ですね。

森岡:その他にも、小売店の店頭や店内に茨城ロボッツ特製のぼりを置かせていただきました。のぼりを置くのが難しい飲食店ではテーブルに三角柱POPを設置いただいたり、トイレにステッカーを貼っていただいたりもしました。

 もちろん、デジタル広告やSNSでないと届かない方もいるので、屋外広告を露出したらSNSでもそれを発信するなど、スケジュールを組んでデジタルとリアルを統合したコミュニケーションを意識していました。

平地:なるほど。とにかく地域の方の目に見えるところに露出して、メッセージを統一。スケジュールを管理しながら、様々なタッチポイントで行えているのは素晴らしいですね。

 しかしながら、通常より店頭や路上、駅周辺の広告露出が増えただけでは、中々5,000人という数字を達成するのは難しいと思うのですが、その他に秘策と呼べるようなものはありませんでしたか?

森岡:確かに、通常の試合で1,500~2,000名規模の集客だったことを考えると、これだけでは難しかったと思います。そこで、ある施策を追加することにしました。

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この記事の著者

道上 飛翔(編集部)(ミチカミ ツバサ)

1991年生まれ。法政大学社会学部を2014年に卒業後、インターネット専業広告代理店へ入社し営業業務を行う。アドテクノロジーへの知的好奇心から読んでいたMarkeZineをきっかけに、2015年4月に翔泳社へ入社。7月よりMarkeZine編集部にジョインし、下っ端編集者として日々修業した結果、2020年4月より副...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2020/04/22 08:00 https://markezine.jp/article/detail/33193

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