改善案を勝手に考える「社外アンバサダー」の登場
2018年7月〜2019年1月
以降も継続的に社内アンバサダーによる発信は行われていました。業種もエンジニアだけではなく、デザイナーからも有志でnoteを立ち上げ、取り組みを発表する動きもありました。
また、個人による発信は社内アンバサダーのみに留まらず、メルカリグループの社員ではない方からの投稿も多く現れるようになってきました。
“サービスを開始していないメルペイが1年も前に会社を設立した理由を考察!”
“メルペイのこの取り組みの改善案、勝手に考えちゃいました!”
といった「社外アンバサダー」による愛のある考察、改善案が次々とSNS上に現れるようになっていったのです。公式、社内アンバサダーからの情報発信がやがて社外にも広がり、いつしか日本IT業界全体を巻き込んだ総力戦のような状況が生み出されたのでした。
社員の情報発信には介入しない
これらの話題の起点と広がり方の変化について、メルペイ 広報担当 宮本祐一氏にお話を伺いました。
金清:改めて、会社設立発表からサービスリリースまでのソーシャルボイスを俯瞰で見てみてどう思われますか?
宮本:時系列で辿っていくと、社内エンジニアやデザイナーが個人ブログで情報を発信したタイミングが、それぞれの担当が「メルペイ」の開発に深く携わっていたタイミングと重なるので、開発の進捗とSNSでの話題の変化がほぼ並列に進行しているなぁ、と思いました。
金清:なるほど、社内の動向と連動しているのはとてもおもしろいですね! 私は、自社での取り組みや業務への思想を発信する社員の方々を「社内アンバサダー」と呼んでいます。彼らの発信内容は事前に広報チームで確認されたりしているのですか?
宮本:いえ、もちろん非開示・未発表の情報を出さないなど、一般的に守るべきガイドラインを作り遵守するよう周知していますが、社員への投稿の依頼や監修作業は行っていません。
金清:それも凄いですね。クオリティの管理など懸念事項はないのでしょうか?
宮本:一切ないとは言わないですが、会社が何かルールを定めるのではなく、一定の基準を示し、その中で社員個人個人が自分で考え、正しいと思ったことを発信するという社風ですね。会社が掲げるミッション、バリューが浸透していることや多くの情報がオープンであることで、会社と社員間での価値観、方針の大きなズレがない、というのもそうした社風の前提になっていますね。