意思決定者の商習慣を理解できているか
考えなければいけないのは、企業というものは想像以上に変革に時間がかかるということです。BtoBの製品・サービスは、稟議や承認というプロセスを経て購入に至ります。そのためのプロセスに関わるさまざまな立場の人、特に購入の意思決定や承認をする人の商習慣に合わせたアプローチを行うことが、きわめて重要になるのです。
私のような現在の40代は、学生時代にPCやインターネットに出会い、社会人になってからインターネットの成長とともに歩んできた世代です。しかし年長者の方のなかにはデジタルに抵抗感をもつ人もまだまだ多くいます。購買プロセスのデジタル化が技術的に可能になったからといって、「営業は対面が基本」という価値観を否定してよいということにはなりません。
しかし、今後現在の40代がマネジメントに上がり、さらに若い世代が中核を占めることで変化していくでしょう。もっと若い人たちはそもそも生まれた時からデジタルなので、この世代が企業活動の中心になってくるとさらに本格化するに違いありません。そうなってくると、デジタルによる発信は当然視され、そのなかでいかに差別化し、コミュニケーションの価値を高めるかが勝負になってくるはずです。
デジタル浸透で進んだ、分業化と専門化
BtoBマーケティングにはもう1つ、デジタルの浸透によって現在進行形で起こっている変化があります。それは、顧客へのアプローチの分業化が進んでいるということです。
昔であれば、電話でアポを取り、お客様を訪問して、契約を取り付けて、その後のサポートまで1人の営業パーソンで完結していました。しかし今では、マーケティング、インサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサクセスなどの分業が確立しつつあります。

具体的には、マーケティング部門の人が製品やサービスを顧客に認知させるために活動し、営業の人がクロージングをする、最近では、インサイドセールスが引き上げ、ナーチャリングをして、フィールドセールスがクロージングをするという具合です。このように分業化が進むと同時に、それぞれのプロセスの専門性も高まっています。