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クリックの先の世界へ「D2Cビジネス」の進化と変貌

【「D2Cビジネス」の進化と変貌】第1回:広告・マーケティング業界に起きている3つの大きな変化

 昨今注目されている「D2C(Direct to Consumer)」というキーワード。顧客とダイレクトにつながりたいという思いは、どの企業も持っていたはず。しかし、なぜ今になってここまでD2Cが注目されているのか。本連載では、D2Cが注目される理由、そして現在起きている広告業界の変化について、ADKホールディングスの執行役員・グループCDOである大山俊哉氏が解説。今回は広告・マーケティングで起きている大きな変化について明らかにする。

はじめに~「D2Cビジネス」の進化と変貌~

 デジタルテクノロジーやデータ活用の進展により、企業はその顧客または将来の見込み客とダイレクトにつながり、顧客との直接的な対話や体験をより重視するようになってきている。あのディズニーですら「Disney+」という独自のD2Cサービスを開始し、新たな時代の幕が上がろうとしている。

 米国発祥のAmazonやUber、Airbnbは、その独自のマッチングプラットフォームを活用した究極の「D2Cビジネス」そのものであり、その後もWarby Parker(メガネ)やAway(スーツケース)などオンラインでの販売やサービスに特化したD2Cプロダクト/サービスが数多く誕生してきた。最近ではその形態はさらに進化し、一般ビジネスにまで拡張してきているケースも少なくない。

 デジタル化の進展や生活者のニーズ、習慣の変化で、これらの潮流は不可逆的な動きであると考えられ、Withコロナの「新常態」においてはさらに加速していくであろう。

 この記事では、『クリックの先の世界へ「D2Cビジネス」の進化と変貌』をテーマに、広告・マーケティング業界にどんな変化が起こっているのか? 新たなデジタル環境下において、企業のビジネスはどのように進化していくのか? そして、それを支える広告・マーケティングの役割はどのように変わるのか? などを、私の視点で3回に分けて解説していく。

 第1回では、広告・マーケティング業界で起きている以下3つの大きな変化について語りたい。

1. 生活者の変化

2. 広告(メディア)・マーケティングの変化

3 .企業(クライアント)の変化

生活者に起きた5つの変化

 デジタルの進展において、最も変わったのは何と言っても生活者であろう。多分これは、ふつうなら数十年以上かけてゆっくり起こることが、このたった10年で起きてしまった革命的な変化だ。

 この生活者の変化を分解すると以下の5つに分けられる。特に、スマホの登場が変化の中心を担っていると言っても過言ではない。

・スマホシフト

・メディア視聴と広告接触の変化

・情報収集と発信の変化

・購買方法の変化

・オンライン新サービスの登場

スマホシフト

 生活者の「スマホシフト」があらゆる「デジタルシフト」を強力に推し進めた。生活者の「習慣」が変わってしまったと言っていい。「習慣」というのはいったん変わると、それが便利であればあるほど決して元には戻らない。最近のリモートワーク、在宅勤務もそうであろう。このスマホシフトは、スマホ上で繰り広げられる様々なオンラインサービスやアプリ、メディアなどの登場によってさらに加速している。

メディア視聴と広告接触の変化

 スマホの登場で今ではすべて「掌の中」であらゆるメディア視聴や体験が可能になった。これらは当然ながらマスメディアやそれに紐づく広告の接触機会の様態を大きく変化させ、広告業界やメディア業界の地図を変えていった。

情報収集と発信の変化

 かつて生活者には、自らが情報を収集する仕組みも、発信する仕組みもほとんどなかった。それが今や情報収集は、検索であらゆることが幅広く速やかに知ることができ、ソーシャルで人々の意見やレコメンドの収集も可能となった。

 情報発信に関しても、ソーシャルメディアやオウンドメディアを活用すれば誰でも発信者になれる。

購買方法の変化

 日本ではEC化率(BtoC)は2018年に6%超、米国では10%を超えており、中国も安定成長期に入っている(経済産業省調査、2019年5月発表)。 

 新型コロナウイルスの影響による自粛も相まって、EC経由で買い物をしたという方も多いのではないだろうか。ECの浸透普及はこれからも加速していくだろう。

オンライン新サービスの登場

 人が介する仲介業や紹介業、情報提供サービスは、昔から多数存在していた。旅行代理店、不動産仲介、銀行や証券会社の店舗、広告代理店もその一つと言えるだろう。

 これらの業種のビジネスにおける大部分が、オンラインサービスに置き換わっていった。オンラインに特化したサービスも今日では当たり前となってきており、リアルの場だけでなく、スマホ上にも大きな経済圏が形成されてきた査証であろう。

ミレニアル世代とZ世代の登場

 これら5つの変化に加え、「ミレニアル世代」(現在24~39歳、「Y世代」とも言う)と「Z世代」(20歳前後)の登場は、今後の広告・マーケティングにおいて非常に重要なポイントになるだろう。

 前者はインターネット普及前の時代に生まれた世代で、幼少期から大人になる頃までにIT革命を経験したいわゆる「デジタルネイティブ」の走りである。後者は生まれた時からすでにインターネットが当たり前のように存在し、パソコンよりもスマホを日常的に使いこなしている「スマホ世代(iGen)」である。この2つの世代はすでにマーケットの中心的な顧客であり、その上の世代に比べると明らかに生活習慣が異なる。

 今後もテクノロジーやデバイスの変化するスピードは速くなり、これらの世代より若い世代において短いタームで、習慣や行動様式は大きく変わることが予想される。そのため、その世代の変化に合わせた広告やマーケティングのアジャストが必要になってくるであろう。

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広告(メディア)・マーケティングに起きた3つの変化

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この記事の著者

大山 俊哉(オオヤマ トシヤ)

 1984年に電通に入社。2007年にデジタルビジネス局に異動し局長就任、その後、ダイレクトマーケティング・ビジネス局長を歴任。2014年4月に執行役員就任。デジタルマーケティング、インターネットメディア、データソリューション、プロモーション領域の責任者としてグループ会社も含めて統括。2016年7月...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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2020/06/23 09:00 https://markezine.jp/article/detail/33499

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