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デジタルマーケの強靭な土台が、成長の機会損失を防ぐ!PEファンドが投資先のインハウス支援に見出す価値

 従来から投資ファンドは、投資先企業に対し資金面での支援に加え、コンサルティングなど経営面での支援を提供しながら企業の価値向上を図っていた。しかし、プライベートエクイティファンドのアドバンテッジパートナーズは、投資先のバリューアップのため、経営面での支援の取り組みの重要な柱の一つとして、デジタルを活用したマーケティング戦略策定・実行を積極的に支援している。本記事では同社と、同社とともに投資先のデジタルマーケティングのインハウス化を担うハートラスに話を聞いた。

競争力向上に欠かせないマーケティングの強化

――本日はアドバンテッジパートナーズ(以下、AP)の束原さん、安永さん、そしてハートラスの高瀬さんに、両社でのプロジェクトについてお話を伺います。まずは束原さん、御社の事業と今回のお取り組みについてご紹介いただけますか?

束原:APは1997年に日本初のプライベートエクイティファンドとして誕生しました。投資先を発掘して、投資を実行、その後はバリューアップ支援まで行うのが主な流れで、私は案件責任者を務めています。

アドバンテッジパートナーズ パートナー 束原俊哉氏
アドバンテッジパートナーズ パートナー 束原俊哉氏

束原:昨年6月に、教育事業を展開するアビタスと東京中央日本語学院の2社について、同時に投資する機会がありました。そのうちアビタスにおけるデジタルマーケティングのサポートを、ハートラスさんに依頼しています。マーケティングの具体的なアクションに関しては、当社の安永が担当です。

――投資先企業のマーケティング支援に取り組まれているのですね。投資ファンドと言いますと、ファイナンスや経営の上流のみを手がける印象でしたが、マーケティング領域の施策実行まで手厚くサポートするのは、業界全体の流れなのでしょうか?

束原:投資先と一緒に汗をかく、いわゆる“ハンズオン”を掲げる投資ファンドは、今では大分増えてきました。ただ、施策の具体的な展開の幅に関していえば、単なるコスト削減のみならず、売上拡大など商品・サービス自体の戦略にまで踏み込んで行う会社は少ないと思います。

高瀬:私たちハートラスもご一緒させていただいて、イメージを見事に覆されました。ファンドから離れた後も競争力ある企業として発展できるよう、支援されていますよね

束原:はい。基本的には、オーナーシップの過半数以上を取得させていただき、マーケティングや営業に加えて人事制度の設計やIT導入、中期計画の策定、組織再編など、経営上のあらゆる側面に関してお手伝いさせていただいております。

投資ファンドがデジタルマーケに期待している役割

――では、デジタルマーケティングのプロジェクトをハートラスさんと行うに至った経緯をお聞かせください。

安永:前提として、当社はデジタルマーケティングをアプローチのひとつとして大変重視しています。生活者が日常的にSNSやYouTubeなどの様々なデジタルメディアに触れるようになっていますから、そこをしっかりと押さえ、戦略や施策に取り込む必要があるのは支援の前提になります。

アドバンテッジパートナーズ ディレクター 安永記士氏
アドバンテッジパートナーズ ディレクター 安永記士氏

安永:また、投資ファンドの視点からは、戦略や施策を選択するときに費用対効果や投資対効果を重視する傾向があるので、効果を数字で見られるデジタル関連の取り組みは取り入れやすいという事情もあります。

束原:今回ハートラスさんと一緒に行うことになったきっかけは、私のマーケティングの“師匠”である小霜和也さんとのご縁にあります。

 アビタスは、国際資格を取得するための学校運営を主な事業としているのですが、投資前に実施した調査で出てきたバリューアップの仮説は「潜在顧客をどれくらい顕在化できるか」ということでした。そのためには、国際資格が必要な方々、主にビジネスマンを中心に資格の重要性についての認知を広げつつ、さらに潜在顧客を取りに行くことが近道です。しかし当時のマーケティング活動は、イベント・説明会などで集客し、顧客獲得へつなげていくオフライン施策が中心で、SEO施策なども実施していたものの、コストがかさむ割には、自然流入のボリュームは多くありませんでした。

 今後は潜在層をもっと取り入れるべく、デジタルを活用した施策を徹底的に行いたい。そのためにデジタルマーケティングに精通し、市場調査も継続的に行ってくれる会社を探していたところ、小霜さんにハートラスさんをご紹介いただいたんです。

分析、組織づくり、最適化、最大化の4ステップ

――具体的なプロジェクト進行は、安永さんが担当されているそうですね。これまでどのようなお取り組みを行ってきましたか。

安永:まずはベースの収益を上げるため、マーケティングコストの再配分を図りました。ハートラスさんには、広告媒体ごとの売上への寄与割合を分析いただき、最適なメディアミックスを導き出してもらいました。これは、コスト削減を行うという文脈ではなく、同じ広告宣伝費を投じるとして、メディアミックスの配分を変化させることで売上を拡大する余地がないのか、という分析です。

 次に、会社の全体的なマーケティングの質を向上させるために、アビタスの中で実際にマーケティングを担当しているチームの再編成を進めております

高瀬:実行フェーズに移った現在は、アビタスさんを含めた広告マーケティングに関わるチームの方々と、業務設計の見直しや、代理店のディレクションに入ったりしながら、日々の細かい数字の確認などを行っています。

ハートラス 取締役 CSMO 高瀬大輔氏
ハートラス 取締役 CSMO 高瀬大輔氏

安永:現在、チーム組成はまだ強化途中でして、今後さらなるレベルアップを目指しています。アビタスと東京中央日本語学院はパスメイクホールディングスというホールディング体制を敷いており、今後色々な会社を買収しながら成長していくストーリーを描いていますので、そこに新たに会社が加わったときには、ハートラスさんに今回と同様の支援をいただく予定です。

高瀬:新しい法人を迎え入れたときのために、「分析、組織づくり、最適化、最大化」の4ステップをフレームワーク化することが、APさんとしても投資先に対するバリューアップの手段として、スピードの観点から考えた場合、重要だと考えています。

安永:ハートラスさんは一連のステップの中でも、「最適化」の部分がとても上手ですよね。投資先企業のマーケティングチームは人的リソースが限られていることも多いですが、それをよくご理解いただいた上で、その時々で効果的にマーケティング施策を向上させるための要素を見つけ出し、必要な場合には足りないピースを補ってくれていると感じます。マーケティング強化に際しては投資先企業のマーケティングチームの方々の活躍が大切ですが、それをうまくサポートいただいているかと思います。

自走できる企業に育てる、スキルトランスファーのポイント

束原:ハートラスさんはスキルトランスファー、いわゆるマーケティングのノウハウやスキルを移植していただくようなコミュニケーションやインタラクションも得意ですよね。言葉だけで伝わらない部分が結構あると思うのですが、客観的に評論するだけでなく、一緒に手を動かしてやり方を示してくださる。

たとえば、外部の代理店とのコミュニケーションをどうするか、発注要件など、様々な規範を示しながら、良い方向に導いてくれています。

――ハートラスさんは、円滑なスキルトランスファーのためにどのようなことを心がけているのでしょうか

高瀬:「知識習得」と「実務」をミックスし、範囲を決めて実行していく。当たり前のことですが、これをやり切れるかが、最も重要だと考えています。

 まず知識や技能の習得に関しては、講座やカリキュラムを用意し、ステップアップしていただいています。しかしそれを自社の実務に当てはめて実践していくのは、簡単ではありません。だからこそOJTの形態で、弊社の担当がアビタス様のご担当者様と一緒に、ステップごとに実行と振り返りを行っています

高瀬:もう一つ、スキルトランスファーした先に属人化が起こらないよう、気を付けています。トランスファーしていく過程で物事の考え方や、運用の仕方・代理店とのルールなどはできるだけアウトプットし体系化するようにして、後から入った人が見ても理解できるものにしようとしています

デジタルマーケの強靭な土台が、機会損失を防ぐ

――実際に変化を感じた場面はありますか?

束原:属人的にマーケティングを行っているという状態は、我々の関与する企業でよくあることなのですが、今回も特定の方に依存しすぎていたり、組織の判断としてやっていることが見えづらい状態であったりしました。しかし、今回のプロジェクトを通じてマーケティング部隊の動きが見えるようになり、経営層ともコミュニケーションが取りやすくなりました。

 また、コロナ禍による自宅での学習意欲の高まりも影響し、現在アビタスの売上は過去最高にまで伸びているのですが、デジタルマーケティングの強靭な土台をつくっておいたことで、チャンスが訪れたときにどのくらい投資をすれば良いか分析できる状態が整っていたことがプラスに働いています。さらに、リアル施策中心だった頃には接点を持ちにくかった地方在住のお客様にも認知が広がり、オンライン説明会の地方からの参加者の割合が上昇していると聞いています。

安永:大切な局面にあっても機会損失を出すことなく進められている、というのが大きな成果ですね。施策実行のスピード感、効率という面でも、手応えを感じています。これは、パスメイクホールディングスのマーケティング・営業チームの方々の頑張りとハートラスさんのご支援により実現できているものだと考えております。

束原:社会に大きな変化が起こっている中、教育サービスの重要性は高まっています。そのためパスメイクホールディングス全体として、自社が提供する価値が時代にどれだけマッチしているかを訴求していくことが大事になりますし、それが世の中への貢献にもつながってくると思っています。

 そのためには、サービスの質を向上させることを大前提に、まずは圧倒的な認知を得ることが必要です。今回アビタスで行ってきたことを横展開できるよう、標準化・体系化をもっと進めていくべきと考えています。

投資先企業のデジタル強化は、投資サイクルにおける「お通し」

――最後に、APさん、ハートラスさんの今後の展望を教えてください。

束原:当社では投資先へのDX支援に関して、業務効率化デジタルマーケティング、そしてビジネスモデル変革につながるデジタライゼーションの3つの面から、議論を進めています。

 投資先企業のデジタル強化は、今や投資サイクルにおける“お通し”のようなもので、投資後は必ずと言って良いほど支援をしています。最先端のものを導入するとともに、効果が検証されたものについては投資の段階からそのための予算を確保している状況です。

 それだけでなく、まだ世の中で十分に知見が蓄積されていないもの、たとえばチャットボットやビデオ通話ツールといったインタラクション機能もいち早く取り込んで有効性を検証し、横に広げていこうと考えています。

安永:現在ハートラスさんとは、投資後にご一緒する関わり方がメインになっていますが、我々ファンドとしては投資前の検討を詳細に実施し、それを実行に移すことが非常に重要です。そのため今後は投資前から一緒に検討してもらって、次のアクションにつなげていくことも検討できればと考えています。

 投資前から投資後にかけて一貫した運用を行い、それを仕組み化することができれば、投資先への新しい支援のあり方が見えるのではと想像しています。

高瀬:お2人がお話しされた領域に対して、私たちがどれだけ価値を提供できるかに尽きると思いますので、引き続き、アビタスさん、そしてパスメイクホールディングスさん全体のマーケティングの最適化をサポートさせていただきたいと思います。

 また、今回インハウス支援についてご一緒させていただき、ビジネス全体を見た上でマーケティングを考えていくやり方によって、高い効果をご提供できると実感しました。弊社としても、今回のように上流から下流までをしっかり見られるポジションで参加させていただく機会を増やしていきます。

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この記事の著者

畑中 杏樹(ハタナカ アズキ)

フリーランスライター。広告・マーケティング系出版社の雑誌編集を経てフリーランスに。デジタルマーケティング、広告宣伝、SP分野を中心にWebや雑誌で執筆中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2020/10/30 17:17 https://markezine.jp/article/detail/33731