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第106号(2024年10月号)
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不確実な時代を乗り越える「マーケティング戦略の大転換」― 突破口はゼロパーティデータとロイヤル顧客(AD)

デジタルが主戦場の今、顧客にとって特別なブランドになるために/Web接客×ゼロパーティデータの可能性

 生活者がオンラインとオフラインを自然に行き来するようになり、Web上での顧客体験への期待値はますます高まっている。そうした背景の下、今年5月にチーターデジタルとSprocket(スプロケット)は協業を発表。Web接客を通してゼロパーティデータを取得し、顧客をより深く理解したコミュニケーション構築に着手している。本記事では、チーターデジタル ジャパンの白井崇顕氏、Sprocketの深田浩嗣氏に、Web接客と顧客体験がどのように変化するかをお話しいただいた。

愛着あるブランドとして、想起してもらえるか?

――両社はこの5月に協業を発表されました。はじめに、その背景にあった課題意識からうかがえればと思います。白井さん、チーターデジタルではゼロパーティデータの取得によるロイヤルティマーケティングを推進されていますが、まず昨今の消費者がどのような顧客体験を求めているか、御社で実施した調査について教えてください。

白井:今年2~3月、チーターデジタルは世界6ヵ国の消費者4,921人に対して調査を実施しました。そのうち日本の消費者809人について、4つほど興味深い観点を紹介したいと思います

 まず購買行動について、52%の方が「自分のライフスタイルに合った商品やサービスがほしい」と答えました。ブランドには、ユーザーのライフスタイルを把握しそれに沿ったオファーをすることが求められています。

 とはいえ、そのためには個々人に関する情報を得ることが必要になります。日本の消費者はグローバルと比較してプライバシーにセンシティブで、今回の調査でもクッキー削除やアドブロッカー利用などの傾向がうかがえましたが、一方で43%の人が「商品やサービスを引き換えにパーソナルなデータ(※1)を提供する」と答えていました

チーターデジタル調査より
チーターデジタル調査より

――パーソナルデータの提供そのものを拒否しているわけではなく、ブランドがそれに見合う価値を提供できているかが分かれ目なのですね。

白井:はい、そのような傾向が読み取れます。3つ目の観点は、パーソナライゼーションについてです。「パーソナライゼーション広告は便利で、それを好む」とする人は15%に留まり、広告に追いかけられることへの嫌悪感は高いことがわかりました。

 最後にロイヤルティに関して、72%の人が「2~5つのブランドにロイヤルティを持っている」と答えていました。この“愛着あるブランド”に入ることができたブランドは、商品やサービスに対するフィードバックや、購入者のパーソナルデータを提供してもらいやすくなり、一層強いブランドを構築していく好循環を生むことができるでしょう。

チーターデジタル ジャパン 日本法人社長 兼 最高執行責任者 白井崇顕氏
チーターデジタル ジャパン
日本法人社長 兼 最高執行責任者 白井崇顕氏

特典やポイントは響かなくなっている。ブランドに求められる変化

――たしかに、愛着があり信頼しているブランドなら情報提供もやぶさかではなく、むしろ積極的にアプローチを受けたい、と思う心理は納得できます。

白井:そうですね。この調査ではブランドに愛着をもつ理由も聞いたのですが、47%の人が「優れた製品やサービスを提供してくれるから」と答えた一方、「ポイント付与や特典があるから」という人は8%と低い状況でした。

 いわゆる金銭的メリットを付与してロイヤルティを育てるのは、これまで長く日本で実践されてきた手法です。しかしそれは現在の消費者から見るとすでに魅力的ではなくなっている、と読み解けますよね。だからこそ私たちチーターデジタルでは、金銭的メリットで顧客をつなぎ留めようとするのではなく、顧客を深く理解することで愛着や信頼性を育てていく方法を提唱し、そのためのプラットフォームを提供しているのです。

チーターデジタル調査より
チーターデジタル調査より

――なるほど。一方、10年以上前からWeb接客ツールを提供されてきたSprocketさんでは、企業と顧客との関係構築をどのように捉えているのでしょうか。

深田:当社でも長い間、金銭的メリットによる関係構築に違和感を持っていました。白井さんが話された課題意識は、私もずっと感じてきたことですし、今回の協業の根幹にも、この思想が完全に共通していることがあります。

 考えてみれば、店頭でお客様に面と向かって「今、決めてもらえればポイント10倍!」などオファーすることはないですよね。それなのになぜか、Web上ではこうした施策ばかり打ってしまいます。Webであっても、企業がユーザーと「信頼」でつながることはできるはず。当社のプラットフォーム「Sprocket」を“おもてなしデザインプラットフォーム”と謳っているのも、根底にそのような考えがあるからなのです。

――言われてみれば、なぜかWebでは割引やポイントなどの経済的メリットばかり強調されている感じがします。

深田:冷静に考えればおかしな話なのですよね。とりわけ接客の場がスマホのようなパーソナルなチャネルになると、余計に“1対1”でやりとりしている感覚が強くなります。この時代だからこそ、顧客を深く理解した上でその人に合った接客や提案をし、信頼を築くことに目を向ける必要が高まっていると思います。

Sprocket 代表取締役 深田浩嗣氏
Sprocket 代表取締役 深田浩嗣氏

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この記事の著者

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2020/09/17 10:00 https://markezine.jp/article/detail/34030

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