まずは「どんなリードなら営業に行きたいか?」を聞く
MZ:なるほど。冒頭でも、営業部門との連携が大事だと強調されていました。垣内さんがクライアント企業を支援する際も、まずその関係構築から始めるのですか?
垣内:その通りで、マーケ部門とMA導入の目的を話し合う一方、営業部門にも会いに行きますね。“マーケティングオートメーション”という名称なので、ツール自体はマーケ部門の管轄になることが多いですが、実際には営業側が納得していないと使いこなせないツールなんです。
MZ:営業部門との対話では、何を見極めるのですか?
垣内:ずばり、「どういうリードなら営業に行きたいか?」を確認します。これは業種や市場環境、部門のそのときの状況によってかなり違うので、丹念にし、継続的なすり合わせも必要です。具体的には、既に件数が十分にあるからとにかく確度の高いホットリードだけ欲しいというなら、たとえばインサイドセールスを置いて極力マーケ側で温めたリードに絞って渡せるように体制を整えますし、逆にそこまでホットでなくてもリードの量が求められているなら一定の段階でリスト化します。また、そもそも問い合わせが全然来ていないならその時点ではMAは不要で、アウトバウンドの営業を強化するのが先ですね。
MZ:では、営業との連携を図りMAで効率化する傍ら、人の手では何に注力すべきでしょうか?
垣内:BtoBなら明確に、営業活動かコンテンツ制作のどちらかです。まず、BtoB商材の導入には必ず人が介在するので、インサイドでもフィールドでも営業力は必要です。また、先ほどの契約フェーズの前後でリードを獲得するにはコンテンツが必要なので、熱いネタづくりも欠かせません。
定石と勝ちパターン、有効なツールを正しく把握しよう
MZ:同じくAI活用についても、自動化すべきところと人の手で注力すべきところをうかがえますか?
垣内:AIは、MAよりももう少し活用にコツが必要かと思いますが、まずシンプルに高速データ処理ができるAIなら、データが一定量ある場合の足切り判定などに役立ちます。リストの中から可能性の低い下位20%を検知したり、逆に確度の高い上位20%を抽出して優先度を高めたりといったことが可能です。最近Pardotのユーザーさんにおいても、このような業務においてAI機能のPardot Einsteinを使われている企業をよく見かけるようになりました。
もう少し高度な機械学習やディープラーニングの活用なら、見つけたい“正解”がある程度は把握できていて、かつデータの解像度が高いときは有効ですね。
MZ:端的でわかりやすいご解説、ありがとうございました。本日9月10日に、書籍『デジタルマーケティングの定石 なぜマーケターは「成果の出ない施策」を繰り返すのか?』(日本実業出版社)が出版されるそうですね。最後にBtoBマーケターの読者にアドバイスをいただけますか?
垣内:書籍タイトルにも思いを込めましたが、せっかく取り組まれるなら、やはり「成果の出る施策」に着手していただけたらなと思います。重複しますが、BtoBマーケティングなら何はともあれ営業とのすり合わせが肝です。そこを超えれば、定石と勝ちパターン、Pardotのような優れたツールも既にそろっていますので、あとは前進あるのみです。ぜひ、皆さんがMAやAIで業務を効率化し、頭を使うべき部分に集中して、成果を出されることを期待したいです。
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