I-ne:LINE公式アカウントを各モールへの送客装置に使い売上UP
続いて「BOTANIST」「SALONIA」といったブランドを展開するI-neから、LINE公式アカウントを軸に、スポンサードスタンプとLINEセールスプロモーションを駆使したマーケティング事例が語られた。
特徴的なのはLINE公式アカウントの活用法だ。大半の企業がトーク画面から自社サイトへと誘客しているのに対し、同社は各モールへの送客装置と位置付けている。具体的には、「マルチカートLP」というランディングページをつくり、各ユーザーが買いたい店舗(Amazon、楽天、Yahoo!、自社EC)にタグで切り替え可能な仕様に。各モールが企画しているセール時期にあわせてクーポンの配信を実施している。
合わせてスタンプ施策も過去5回実施しており、新規顧客を集めながらモール経由で大きな売上を生み出すことができていると、同社 ECセールス部 部長代理の稲益氏は説明する。
「スタンプのクリエイティブによって効果が変化するため、クリエイターの選定が重要です。商品と絡めたものや、自分ゴト化してもらうためにカスタムスタンプにも挑戦しています。スタンプの配信にあわせてTwitterでもキャンペーンを実施し、拡散してもらえるようにしています」(稲益氏)
LINEのタイムラインも有効活用しており、エンゲージメントを高める目的で発信しているWebマガジン「BOTANIST Journal」の更新時に案内を出し、コンテンツへの誘導を欠かさない。さらにメッセージの開封・未開封データを収集し、未開封ユーザーへの配信を停止し、無駄な配信を抑え配信効率を上げる取り組みも続けている。
「すべて停止してしまうとシュリンクしてしまうので、未開封でも数回は打ち、閾値を超えたところでやめるようにルールを決めて、テストしながら検証しています。全配信と開封者のみで比べると、開封者のCTRに2.5倍の差があるなど、効果が見えつつあります」(稲益氏)
さらに店頭施策としては、LINEセールスプロモーションの「LINEマイレージ」を活用したキャンペーンを実施。店頭で購入した商品からQRコードを読み取ることでLINEポイントがチャージできる内容で、(1)POSを回す(2)“棚取り”への効果(3)オフライン購入者のLINEの友だち化を狙って行ったところ、LINEポイントがトライアルのフックになったり、初回の展開スピードが速まるといった効果があったという。
menu:LINE広告でオンラインデリバリーの認知向上へ
続いて紹介されたmenuは、今年4月からデリバリー業界へ参入し、本格的に動き始めているデリバリー&テイクアウトアプリ「menu(メニュー)」を運営する企業だ。「menu」は店舗、デリバリークルー、ユーザーをつなぐプラットフォームで、デリバリーとテイクアウトの両方で活用できる。「オンラインデリバリー」という市場は、新型コロナウイルスの流行前と比べて拡大しているものの、諸外国と比べ日本の利用率は圧倒的に低く、まずはマーケット自体の認知を引き上げる段階にあると、同社執行役員CFOの井上健氏は話す。
「そのための施策を去年と今年で展開してきましたが、現在は少しだけデリバリーの存在が認知されてきた段階です。市場をけん引し、フードデリバリー、テイクアウトの産業を日本に息づかせていきたいと考えています」(井上氏)
そこで、デリバリーの機能を追加したタイミングでテレビCMを展開し、そこからポスティングやクーポンを実施。現在は、LINEを中心としたWeb広告の配信を随時行っているという。
井上氏は「数字として結果を出すためには、様々なデータを活用することが必要。よりターゲットを詳細にし、LINEを通じて目的別のプロモーションができるようにしていきたいです」とビジョンを語った。
セッションの終盤には、富永氏がコロナ禍における各社のマーケティン注力課題を尋ね、データ活用の重要性を再確認した。富永氏は「LINEの強みは独自のIDを有していること。今後もデータ連携なども視野に、マーケティング成果を後押しするソリューションを目指していきます」と述べ、セッションを締めくくった。