企業のファーストパーティデータ活用を支える“LINEログイン”
続いて菅野氏は、データ活用を取り巻く環境が変化し、ファーストパーティデータ活用の重要性が向上している中、LINEログインの活用が改めて注目を集めていると明かした。自社サイトやアプリの会員情報とLINE公式アカウントのIDを連携させることで、ファーストパーティデータを活用した広告配信がLINEのプラットフォーム上の様々な場所で可能になる。
さらに推奨しているのは、LINEの様々なサービスで生成されたデータを一元的に格納し、マーケティングサービスにシームレスに活用する「クロスプラットフォーム」を活かすことだ。たとえば、LINE公式アカウントで集めたデータを活用して、LINE広告で配信したところ、CTR、CVRともに1.5倍になった例もあるという。
バンダイナムコエンターテインメント:Talk Head Viewの効果を実感
続くセッションでは、マーケティングにLINEを活用している企業が集結し、自社の取り組みを共有。本記事では、セッション「バンダイナムコエンターテインメント/BOTANIST/menuに学ぶ、LINEを活用したブランディングとダイレクトマーケティング」の様子をレポートする。
一般的に、ブランディングにはリーチや純粋想起、購入意向、ブランドリフト、ダイレクトマーケティングには、CPAやCPI、LTVといった指標がある。LINEではそれぞれの領域に貢献するサービスを提供しているが、これらを掛け合わせることでさらに効果を発揮できると、モデレーターを務めたLINE 広告事業本部 副事業部長の富永氏は言う。
実際にTalk Head ViewとLINE広告の併用で成果を挙げたのが、バンダイナムコエンターテインメントだ。登壇した同社の橋本氏は、NEマーケティング部でF2P(基本無料プレイ)サービス事業におけるマーケティング戦略に携わり、データの分析・活用を統括している。
モバイルゲームの市場規模が7兆円(※)にまで広がり、市場がレッドオーシャン化している中で、同社はターゲット戦略に合った広告配信の必要性を強く感じ、LINEの広告サービスの活用を開始した。
(※)7兆1,840億円。出典:『ファミ通ゲーム白書2020』
「市場が広がるにあたり、どのポジショニングを目指して、誰をターゲットにしていくかがより重要になっています。目指すポジショニングの第一想起にあがるためにサービスの特徴を印象付けられる広告サービスとして、Talk Head Viewを利用しました」(橋本氏)
実施してみると、非常に高い効果が出た。他の認知系メニューと比べて、2.5倍のリーチ数、オーガニックユーザーと比較し5倍の復帰者を獲得。掲載直後1時間のゲーム内プレイヤー数も2倍になった。ブランディングや認知獲得を目的としていたものの、既存ユーザーや休眠層にも有効で、ダイレクトの指標にも結び付いたのは嬉しい誤算だったという。
一方、同社のダイレクトマーケティングでは、MAU(月間アクティブユーザー数)やPUR(ユーザー課金率)など、課題とターゲットにあわせてKPIを変化させる方法を採用している。自社が保有するユーザーのプレイデータや広告配信データなどを分析・統合したもので土台をつくり、ユーザー属性や趣味嗜好など自社データで賄えないLINEのデータを掛け合わせて、LINE広告に生かす形で配信を行っている。ターゲティングには、拡張機能を使って今後ゲームをプレイするであろう人を推測し、母数を増やしているそうだ。