“ストーリーズのナッジ理論”に則りAR体験からフォローへつなげる
――では、リリース時の周知施策についても教えてください。今回はストーリーズへの広告出稿も行われたそうですね。
平野:はい。やはりストーリーズは認知が高いですし、「Instagramを日常的に使っている流れの中で、カーネルカメラを知っていただきたい」と考えました。また、フィードからはARエフェクトのURLに直接遷移できないため、ユーザビリティの観点からもストーリーズが良いのではないかと考えました。
広告は、3パターンを用意しました。そのうち2つは、インカメラとアウトカメラそれぞれのエフェクトを、簡単に説明した内容です。もう1つは、カーネル立像を360度カメラで撮影する様子の記録動画を活用し、エフェクト制作の裏側を広告にしました。それぞれのクリエイティブの終わりには、「ここからスワイプしてARをチェック」のような表現を入れ、直接ARエフェクトの画面へユーザーを誘導しました。広告からよりクイックにARエフェクトを楽しんでもらう工夫です。
吉原:ストーリーズ広告の目的は、認知拡大はもちろんのこと、日本KFC様のARエフェクトをどのように楽しめばいいのかということをユーザーの皆さんへお伝えすることでした。InstagramのARエフェクトを使い慣れていない方を想定し、広告クリエイティブの中でより詳しくカーネルカメラの使い方をお伝えすることも意識しました。
服部:今回のストーリーズ広告の活用は、Instagramの特性を掴んでいると思います。ARエフェクトを広告経由で知り、楽しみ、アカウントをフォローする流れを、私たちはナッジ理論に基づいて「ストーリーズのナッジ」と呼んでいるのですが、この流れと完全にマッチしているのです。“おもしろいモノがあるよ”と肘で突くように相手の関心を呼び起こし、行動を促すイメージですね。
SNSやメディアへ話題が広がる効果も
――Instagram以外の露出やPRは、行いましたか。
平野:来店につながる、カーネルカメラを使ったキャンペーンを考えていました。カーネル立像のエフェクトと商品を一緒に撮影して投稿すると、プレゼントが当たる内容を設計していましたが、コロナの影響もあり、参加型のキャンペーンは見送っています。
その一方で、他のSNSへの波及効果を狙うようにしました。たとえばTwitterに「この写真はどうやって撮影したのでしょう?」というテキストとともに、アウトカメラのエフェクトと商品を一緒に撮影した写真を投稿してみたのです。すると様々な予想が出てきて盛り上がり、「精巧なフィギュアなのでは?」の声もありました。その後「実はInstagramのARエフェクトです」と種明かしをして、使い方のプロセスも発信したところ、その日のカーネルカメラの利用数が上がっていました。
吉原: ユーザーによる投稿を見ると「カーネルが変なところにいる!」「ケンタッキーを食べていたらカーネルに邪魔された」のように、「ものボケ」をしてくれている様子がうかがえました。想定していた通り、皆さん思い思いの方法で楽しんでくださっているようです。
平野:さらに、多くのメディアでも取り上げられ、幅広い層にカーネルカメラを知っていただけたので、とても良かったと思います。