Salesforce製品を駆使して多岐にわたる顧客接点を管理
MarkeZine編集部(以下、MZ):今回は、科学技術の発展に様々な立場から貢献されているリバネスさんにお話をうかがいます。CIOの吉田さんは、2019年に米国で開催されたSalesforceのイベント「Dreamforce2019」のEinstein Keynoteに登壇されるほど、Salesforce製品で先進的な活用をされているのですね。
吉田:イベントへの参加自体は3回目でしたが、登壇することになるとは思いもよりませんでした。とてもいい経験でしたね。
MZ:MA「Pardot」を中心に、数多くのテクノロジーを使われているとのことですが、まず御社の事業についてうかがえますか?
吉田:当社は子ども向けの教育プログラムから、研究現場でのソリューション提供、また企業や研究機関との共同研究、さらに大学の研究シーズを用いた起業の支援までサイエンスを中心に幅広い事業を展開しています。BtoCもBtoBもあり、BtoBでつながった方のお子さんが教育系イベントに来てくれたりもするので、各事業での顧客が完全に分かれているわけではありません。
リバネスという社名は、Leave a Nestに由来しており、人材も事業もここで育って巣立ってほしいという意味合いを込めています。私は立ち上げすぐの2002年に参画し、現在はCIOとして自社が活用するテクノロジー領域を統括しています。
企業の規模が大きくなるにつれ、管理業務が煩雑に
MZ:Salesforce製品はいつ頃から使われているのでしょうか?
吉田:最初は2013年にSalesforce Sales Cloudを導入し、続いて2014年にPardotを導入しました。当時は皆が社会人経験のない理系研究者40名の集まりだったので、メンバーのビジネス経験がほぼなかったんですね。事業を受注して納品するところまではできても、その後の請求や回収といったフローが定まっておらず、取りこぼしが出てくるようになっていました。好きなことには集中するものの、会社の存続に欠かせない管理業務みたいなところは皆あまり得意ではありませんでした。
次第に人数も増えましたが、研究者採用のみを続けてきたので傾向が変わらず、漏れが多くなる一方でした。そこで、この問題をテクノロジーでどうにか解決できないかと情報収集を始め、Salesforceを見つけたのが、2013年末のことでした。請求の管理だけでなく、たとえばイベントや研究費公募など、相当な種類と量のメール配信もしていたので、それらの最適化も課題でした。
MZ:当時はまだ市場にMAツールは多くない状況でしたが、いくつかの候補はあったと思います。Pardotを選んだ決め手は?
吉田:世界的なツールであることと、勢いがあったことです。我々は元々日本だけでビジネスをしていくつもりはなく、2014年時点で既にシンガポールの海外拠点を開いたりしていました。なので、各国で分け隔てなく使われ得るサービスであることは魅力でした。今後の社員採用を考えても、そのツールを使ったことがある人が採用できればいいな、と。
併せて「マーケティングオートメーション」という言葉が出始めてきたころで、Pardotはその流れをけん引する勢いがありました。これによって一部の業務を自動化できるのでは、という期待もありました。