UGCは自然発生的に生まれ続けていく
マーケティングにおける購買プロセスは「ファネル」型が中心だった。上から広告投下して認知を獲得し、興味関心を持ち、購買が起こる流れが、ファネル型の特徴である。一番下の購買を増やすために、ファネルの上流の認知を最大限にする思想だ。一方、ULSSASはファネル型ではなく「フライホイール(弾み車)」型の購買プロセスである。

ULSSASは「フライホイール型」の購買プロセスに該当する
ULSSASの最後のプロセスである「Spread」で、ユーザーの思い入れが乗って拡散された情報は、ULSSASの起点である「UGC」となる。そこから再びUGCを起点に一連の行動が起こり拡散される、というサイクルになっているのだ。一度ULSSASの循環が作れたら、UGCは自然発生的に生まれ続けていく。ぐるぐる回り続けていくようなイメージがあるといっていいだろう。
オンライン施策をやらざるを得ない今こそ、良いUGCを増やす
ファネル型の購買プロセスには、起点となる「Attention(認知)」獲得のために広告を投下する必要がある。リスティング広告やディスプレイ広告のように、激しい入札競争に勝たなければ掲載枠すら取れないし、マス広告を打つならばそれなりの予算もかかる。
一方、フライホイール型の特徴はUGCを発生させるための初動となる広告配信やコンテンツの投下があれば、それ以降は広告宣伝費をかけ続ける必要がない点にある。UGCそれ自体にも、UGCの活用にも費用はかからない。
また、ULSSASは連載第2回でも解説した「アーンドメディア」の観点で動かしていける購買行動サイクルだ。一般ユーザーのクチコミが集まるアーンドメディアを活用すれば、販管費を削減することも可能だろう。今までマス広告にかかっていたコストも、低価格で動かせるアーンドメディアを使っていけば、浮いた予算をより生産性を高める部分に充てられるかもしれない。
であれば、より良いUGCを増やしていくための活動を行うことも、有効なマーケティング戦略ではないだろうか。
とりわけ、新型コロナウイルスによる影響で人の往来が激減したり、リアルな場での販促が従来通りにはいかなくなったりしている今、消費の場はオンラインに移行している。消費者とのファーストコンタクトがSNSになってきている今こそ、SNSで露出を図り、良いUGCを増やすことが重要になり始めている。
良い商品やサービスがULSSASを回す
では、ULSSASを回すポイントは何だろうか。
ひとつめは、良い商品やサービスを顧客に提供することだ。ULSSASのサイクルを回すには、起点となるUGCが必要である。UGCの元となるのはコンテンツや商品であるため、本質的に良いコンテンツや商品を提供し続けていくことが肝要だ。
ふたつめにポイントとなるのは、UGCが広まる情報経路を作ることである。クチコミがクチコミを呼ぶ様な情報経路だ。連載第2回でも書いたように、SNSはパーソナル(個人)メディアの集合体であるため、いかに個人メディアに自社を取り上げてもらうかもカギとなる。自社のUGCを出してくれるユーザーを巻き込み、コミュニティを形成することで、クチコミが伝搬されやすくなる経路をSNS上に作ろう。
「SNSマーケティング」と聞くと「映え」や「バズ」など華やかでどこかキラキラしたようなイメージが浮かびがちかもしれない。しかし、それはSNSマーケティングのひとつの側面に過ぎない。まずはぜひ、「SNSでモノは買われている」という前提を認識してほしい。そこからULSSASのサイクルを自走的に回していく方法を検討してみるのも、ひとつのマーケティングの手段だ。