MarkeZineニュース

2020年上半期、テレワークでAV機器の需要が増える一方、カメラやスマホは減退／GfK調べ

2020/08/24 16:00

通知

　GfK Japan（GfK）は、全国の有力家電・IT取扱店の販売実績データなどを基に、2020年上半期（1～6月）の家電およびIT市場の販売動向を発表。以下、一部内容を紹介する。

国内家電小売市場／ネット購入が4ポイント増加

　2020年上半期の家電小売市場規模は、ほぼ前年並み。新型コロナウイルスの感染拡大による外出自粛要請や家電量販店の一部休業などの影響を受け、3月および4月は前年の販売金額を下回ったが、緊急事態宣言解除後は回復に転じ、特別給付金の支給が進んだ6月は前年を大きく上回った。

　製品分類別に見ると、テレビの買い替え需要に支えられたAV関連製品、Windows7のサポート終了とテレワーク需要が追い風となったIT関連製品は、前年の販売を上回った。一方、スマートフォンを中心とする電話関連製品、カメラ関連製品は、外出自粛要請により春の商戦期を逸した影響が大きく、前年を大幅に下回る結果に。

　販売形態別では、外出自粛要請以降、ネット販売の伸びが加速。家電小売市場におけるネット販売の金額構成比は、前年を4ポイントほど上回り、19％を超えた。

AV市場／テレワークでノイズキャンセリングの需要高まる

　2020年上半期のAV市場は、薄型テレビの好調な販売に加え、完全ワイヤレスイヤホンの伸長などにより、前年の販売金額を上回った。

　薄型テレビの販売台数は、前年比14％増の300万台となった（図1）。

　市場拡大の背景には、エコポイント制度や、アナログ停波による特需期に購入されたテレビの買い替え需要に加え、コロナ禍の外出自粛でテレビの視聴機会が増加したことにあると見られる。4Kテレビの販売台数は、前年比26％増。薄型テレビに占める数量構成比は前年から6ポイント上昇の55％となった。また、薄型テレビのうち、55インチ以上のモデルが占める数量構成比は前年から5ポイント伸長し21％に。4Kテレビや大画面テレビといった高価格製品の好調により、薄型テレビの税抜き平均価格は、前年から6％上昇し83,000円となった。

　ヘッドホン／ヘッドセット（※1）の販売本数は前年比7％増の1,040万本に。完全ワイヤレス対応機（※2）は同63％増となり、数量構成比では前年から7ポイント伸長し20％を占めた。そのうちノイズキャンセリング機能搭載機の販売本数は、前年の10倍以上と飛躍的に伸長した。構成比は全体の1割にも満たないが、メーカーの新規参入にともないモデル数は増加しており、完全ワイヤレス対応機の販売をけん引している。なお、3月以降のテレワーク需要の高まりをうけ、有線ヘッドセットの販売本数も前年比25％増を記録。完全ワイヤレス対応機などの高価格製品の伸長により平均価格が上昇し、金額前年比は24％増と、数量前年比の伸長率を大きく上回った。

テレコム市場／高性能カメラ搭載のスマホが38ポイント伸長

　2020年上半期の携帯電話販売は数量前年比24％減の1,180万台となった（図2）。

　そのうち9割強を占めるスマートフォン（ファブレット含む）は同23％減の1,080万台、フィーチャーフォンは同35％減。端末料金と通信料金を完全に分離する分離プランの導入による値引き規制を受けて購入需要が減退したことに加え、新型コロナウイルス流行にともなう外出自粛ムードや家電量販店・携帯専門店の一部休業が販売減に拍車をかけた。

　また、画面サイズが5.6インチ以上の数量構成比は前年から13ポイント拡大し69％に。その他、望遠と広角、カラーとモノクロなど、役割の違う複数のカメラレンズを搭載した複眼レンズ搭載モデルの販売が伸長し、前年から38ポイント拡大し63％となった。

IT・オフィス市場／Windows7のサポート終了が大きく影響

　2020年上半期のIT・オフィス市場は、前年の販売を下回った。テレワークや自宅学習の需要によりリテール市場は好調だったが、リセラー市場の大幅な落ち込みが、全体の販売を押し下げた。

　パソコン（※3）は、前年比12％減の770万台。リテール市場の販売台数は同31％増の200万台と好調だった。この背景には、昨年末から3月半ばにかけてのWindows7のサポート終了にともなう買い替え需要に続き、新型コロナウイルス流行にともなうテレワークおよびオンライン授業による需要の高まりがある。一方でリセラー市場は、Windows7のサポート終了にともなう買い替え需要の反動減により、2月以降前年割れが続き、二桁減となった。

　タブレット端末（※4）は、前年比6％減の340万台に。リテール市場は同20％減の120万台となった。通信方式別に見ると、キャリア回線付きモデルは数量構成比39％まで低下した一方で、Wi-Fiモデルは61％を占めるまでに拡大した。近年拡大基調にあったリセラー市場は、緊急事態宣言下における販売不調で、縮小に転じた。

※1　ヘッドホン：マイク無しのイヤホン・ヘッドホン製品（ステレオのみ）、ヘッドセット：マイクを備えたイヤホン・ヘッドホン製品（ステレオ・モノラル）

※2　左右のイヤホンが完全に独立したBluetooth搭載イヤホン

※3　Windows 8／8.1／10搭載のスレート型情報端末を含む

※4　画面サイズ5.6インチ以上のタッチスクリーンを備え、iOS、Androidなどの軽量OSを搭載するスレート型情報端末（7インチ未満の通話機能付き端末は含まない）