コロナ禍で高まる、データマーケティングの重要性
「マーケティング戦略は“感覚”に頼るのではなく、客観的に判断できる“データ”を軸にして戦略を考えるべき」。この前提に、異論を唱えるマーケターは少ないだろう。
そのデータマーケティングが、コロナ禍においてますます重要性を増しているという。「MarkeZine Day2020 Autumn」に登壇したフロムスクラッチの久住拓也氏は、企業を取り巻く直近のマーケティング状況について「仕事や学校を含めて外出自粛が叫ばれるようになり、社会活動のデジタルシフトが進んでいます」と分析したうえで、次のように説明する。
「社会活動のデジタル化が進むに連れ、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)も一層加速しています。そこで収益を上げていくため、データ活用の重要性がより増すようになりました。そのためこれまで以上に、データマーケティングが注目されているのです」(久住氏)
実際、DX化を目指すなかでデータマーケティングを強化したい企業が増え、フロムスクラッチにも多数の問い合わせが寄せられているという。フロムスクラッチが2015年5月から提供しているデータマーケティングプラットフォーム「b→dash」は、小売・流通から金融、人材サービス、スポーツまで幅広い業種で利用されているソリューションだ。同社はこの幅広い実績を基に、企業のデータマーケティングを成功に導く独自の“フレームワーク”を持っている。
久住氏によると、このフレームワークは「データを使ってどのように収益を上げていくか」、その具体的な行動をステップ化して落とし込んだものだという。これを同社では「Growth method」と呼んでいる。
データマーケティングを成功に導く6つのステップ
Growth methodとは、具体的にどのようなものか。このメソッドは、様々な業種や企業の「b→dash」導入・活用プロジェクトに従事してきた経験から導かれたもので「成功する企業は、データマーケティングの成功に当たって、6つのステップを踏んでいるという共通項があります」と久住氏は説明する。
そのステップとは、(1)Funnel(ファネル)、(2)Bottleneck(ボトルネック)、(3)Microscope(マイクロスコープ)、(4)Reverse(リバース)、(5)Unrefusable Offer(アンリフューザブル・オファー)、(6)Operation(オペレーション)の6つだ。これは簡単にいえば、データを分析して問題点を洗い出し、その問題点を改善に導くKPIを定め、実行し、その結果を分析していくプロセスになる。つまり一般的にいわれているPDCAだが、単純にPDCAを回すだけでは、期待した成果がすぐに得られないことが多い。
このGrowth methodは、一般的なPDCAのプロセスを細分化すると共に、その過程で行うべきデータの見方や調査のやり方、注目ポイントを加え、迅速に成果が出るように考案されたものだ。その具体的な進め方について、久住氏に続いて登壇したフロムスクラッチでCMOを務める三浦將太氏が、実際にある「ECと実店舗を運営する総合小売店A社」のデータマーケティングの事例を紹介しながら説明した。