オンライン=リアルのZ世代と、線引きするX・Y世代
そして最後の仮説は、(3)Z世代は上の世代のコミュニケーション方法にちょっと引いている、というもの。子どものころからリアルとオンライン両方の空間で生活し、2つの世界に境界がないZ世代。それに比べ、ある程度大人になってからSNSが誕生し、リアルとオンラインにはっきりと線引きがあるX・Y世代。Z世代は、自分たちより上の世代におけるSNSの使い方に、どのような違いを感じているのでしょうか? もしかすると、古いコミュニケーションのとり方を目の当たりにすることで、実はちょっと引いてしまう……なんてこともあるかもしれません。この仮説を確かめるために、用意した質問がこちらです。
Q.社会人ってどんなイメージ?
社会人とのコミュニケーションについて探る前に、まずは社会人のイメージについてざっくり聞いてみました。「あなたにとって社会人とは?」という、やや抽象的な質問を投げてみたところ、様々な回答がある中でこのような意見が目立ちました。
「社会人という言葉の意味がわからないです。社会に価値を与えている人だとしたら、すべての人が社会人だと思います」
「社会人というのは、だれかが作った枠組みだと思います。学生との上下関係を作るものではないでしょうか」
子どものころからSNSによって色々な価値観を知り、リベラルな感覚を持つとされているZ世代。そもそも「社会人」という枠組みそのものに、疑問を感じているようです。彼らから出てきた、社会人に対する良いイメージと悪いイメージをまとめると、次のようになりました。
(良いイメージ)
・お金に余裕がある
・色々な人との出会いがある
・自立している
(悪いイメージ)
・仕事に縛られて、土日だけを楽しみに生きていそう
・大学や就職先などの基準で他人を見ているように感じる
・上下関係がめんどくさそう
社会に出ているからこそ自立ているという良いイメージがある一方、仕事や人間関係から生まれる窮屈さが、悪いイメージとして植え付けられていることが明らかになりました。

【発見3】
社会人への良いイメージは自立と余裕。悪いイメージは色々なものに縛られているところ。しかし、そもそも社会人という枠組み自体に疑問を感じている。
コミュニケーションもリアル≠オンラインの社会人に違和感
そして本題の、社会人とのコミュニケーションにおける違和感について、みんなから出た意見をまとめると大きく以下の3つに分けられました。
リアルの会話と文面のギャップについて
リアルとオンラインの自分を分けていないZ世代は、社会人の「喋り口調と文面の違い」に怖さを感じているようです。
「リアルだとタメ口で話してくるのに、メールだと『〜でよろしいでしょうか』みたいな感じで怖いです」「うちのバイトの店長は、リアルだと楽しい人なのに、LINEではかたくてどちらが本性かわからないのが怖い」
「僕たちのLINEは、話すように“ひとことずつ”送ります。大人は1つのコメントが長い上に、なぜか敬語なので、違和感を覚えます」
普段の喋り方と文面が違うことは、Z世代にとってかなりの違和感。相手に対し、二面性があるのではないか? という怖さを感じているようでした。やはりSNSの世界でも、世代間の差ははっきりと存在しているようす。
メールフォーマットについて
社会ではもはや当たり前とされている「メールフォーマット」。長いあいだ通用されてきたこの風習が、実はZ世代を混乱させているようです。
「就活をしていてメールのフォーマットを知ったのですが、何のためにあるのかわかりません」「フォーマットは、自分で打っていても自分の言葉じゃないみたいです。フォーマットを使っていると、自分が何を言いたいのかわからなくなっちゃいます」
社会人のSNS投稿について
社会人のSNS投稿についても、まるでリアルと切り離されているかのような違和感が、Z世代にはあるようです。
「大人の人はプライベートの投稿も“充実してますよ”感があります。私たちはもっともっと、本当の日常をあげるんです」「SNS投稿も、ビジネスマンとしてのフィルターを通したものばかりだと思います。その人の素がみえない。本当はどういう人なの?って、見ていて思います」

【発見4】
リアルとオンラインを分けていないZ世代は、社会人がリアルとオンラインの自分を分けていることに対し、大きな違和感がある。