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「withファン」レポート

「アンバサダーを有名にする」をKGIに置いたワークマンのファン施策、その狙いと成果とは?

 アジャイルメディア・ネットワークは、同社が提唱するアンバサダープログラムの一貫として、ファンと企業の関係に主軸を置いたオンラインセミナー「withファン」を主催している。8月26日に行われた回では、ワークマンの林知幸氏をゲストに迎え、2019年よりスタートした同社のアンバサダーマーケティング施策について語られた。本稿では、その様子をお届けする。

KGIは「アンバサダー自身に有名になってもらうこと」

徳力:第三回の「withファン」は、ワークマンの林知幸さんをゲストにお招きしました。近年、作業服の専門店でありながら、一般向けに人気商品を多数生み出しているワークマンですが、今年6月に発売された書籍『ワークマンは商品を変えずに売り方を変えただけでなぜ2倍売れたのか』(酒井大輔著、日経BP)のヒットでさらに話題を呼んでいます。私も事前に拝読しましたが、林さんのお話を非常に楽しみにしています。

林:みなさんこんばんは、林と申します。平成8年に入社してからワークマン一筋、現在は、営業企画部と広報部を兼任しております。この両方を兼任することはあまりないかもしれませんが、元々は営業企画部の仕事が先で、職務範囲が広報に広がってきた流れです。話題を仕掛けていく戦略的な広報を目指していて、メディア取材などを率先してアレンジするといったことも行います。

ワークマン 営業企画部 兼 広報部 部長 林知幸氏
ワークマン 営業企画部 兼 広報部 部長 林知幸氏

徳力:では早速、ワークマンのアンバサダーマーケティングについてお伺いしていきたいと思います。

林:アンバサダーの取り組みは2019年にスタートしたものですが、今ワークマンで一番力を入れている施策でもあります。今回のプレゼンの最初に、3人のスター・アンバサダーを紹介させてください。

林:中央がキャンプブロガー兼YouTuberのサリーさん。彼女はワークマンアンバサダーの第一号です。向かって左が「狩り女子」のNozomiさん。YouTubeチャンネル「Nozomi’s 狩りチャンネル」も運営されています。そして右がYouTuberのねこまるさんで、かわいい系コスプレをされたりする「ねこまるちゃんねる」を運営されています。

徳力:あの、狩り女子というのは……?

林:猟師の方なんです。なぜワークマンを着ていらっしゃるかというと、猟師はたとえば間違って撃たれてしまうことなどがないように、森のなかでは目立つ色や柄の服を着る必要があるそうです。

徳力:なるほど、それでアウトドアでワークマンを着てらっしゃる。みなさんすてきな方ですが、メーカーが、こうやってアンバサダーの方を最初に紹介されるというのは珍しいですね。

林:そこには理由がありまして、私達のアンバサダーマーケティングのKGIは、「アンバサダー自身に有名になってもらう」というものだからです。ワークマンアンバサダーの皆様には、どんどんテレビに出たり、メディアで取り上げられたりして欲しいと思っているんです。

 そして、アンバサダーマーケティングのKPIには、アンバサダーによるワークマン関連コンテンツのPV数や、コメント数を設定しています。アンバサダーの発信力が増すことによって、自然と「ワークマン」という言葉やハッシュタグが含まれるUGCが増え、結果口コミからの購入者も増えると考え、目標設定をしています。

アンバサダーは少数精鋭でスカウトする

徳力:アンバサダーの方々のフォロワー数などは、検討されている段階で何人くらいを目処にされていますか? 有名な方ほど影響力が大きいのでは、とも思いますが。

林:スタート当初からフォロワーが万を超えるという方は、いらっしゃらないですね。どちらかというと、「ワークマンのアンバサダーになって、どんどん有名になっていっていただければ」と思っています。大切なのはフォロワーの数ではなく、投稿回数の多さや、その内容にワークマンへの愛が感じられるか、ということです。それを弊社のSNS担当者が目視で確認を行って候補をあげています。

林:アンバサダー・プロジェクトを発表したのは、2019年9月。当社が主催する「過酷ファッションショー」の第一回を開催したタイミングと同時でした。その際に生まれたアンバサダーは第一号のお一人でしたが、現在26名まで増えています。すべてこちらからお声がけをして、コミュニケーションをとっていく中でアンバサダーになっていただいたという状態です。50人まで増やし、卒業する方が居れば追加を行いますが、それ以上増やすということは考えていません。

過酷ファッションショーの様子。撥水、防水に優れたワークマンのウェア&ブーツを来たモデルたちが大雨など過酷な環境が再現されたランウェイを歩く
過酷ファッションショーの様子。撥水、防水に優れたワークマンのウェア&ブーツを着たモデルたちが大雨など過酷な環境が再現されたランウェイを歩く

徳力:自薦方式でなく、SNS担当者が口コミを追いかけて見つけているのですね。そして一人一人と対話し、個性が見えるなかでのお付き合いをされているので、大人数ということはされないのですね。なかには所在がわからず店舗で待ち伏せして声を掛けたアンバサダーさんもいるとか。

林:お住まいの地方に新店舗ができたときは開店時にきっと来てくださるだろうという狙いでお待ちしていた、ということがございます(笑)。

徳力:第一回の「過酷ファッションショー」ではファッションモデルさんがメインで着用されていますね。こういう場でアンバサダーの方がモデルを務めたら、盛り上がるでしょうね。

林:そうですね。昨年はサリーさんに舞台に上がっていただき、アンバサダーとして、コラボ製品の開発までの道のりを詳しくご紹介して、その後テレビ出演などにもつながりました。

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この記事の著者

吉田 朗子(ヨシダ サエコ)

アジャイルメディア・ネットワーク株式会社 マーケティング部

広告代理店とカナダでのワーキングホリデーを経て、2018年アジャイルメディア・ネットワーク(AMN)入社。AMNでは、マーケティング部に所属しながら”寄り添う企業として”をスローガンにしウェビナー、イベントなどを開催中。個人では保護犬のボランティアなどを行いながらより良い未来を模索している。

アンバサダープログラム事業部:https://agilemedia.jp/ambassador-program

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宮崎 綾子(ミヤザキ アヤコ)

編集者。編集プロダクション勤務を経て2009年に独立、“ひとり編プロ”アマルゴンを運営。PC・スマホ・ウェブ関連の技術&カルチャー書籍編集制作を中心に、PRコンテンツ企画など幅広く関わる。電子書籍の導入期にはImpress QuickBooksシリーズに参画。実績は https://amargon.net

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田口 和裕(タグチ カズヒロ)

タイ在住のフリーライター。ウェブサイト制作会社から2003年に独立。雑誌、書籍、ウェブサイトなどを中心に、ソーシャルメディア、クラウドサービス、スマートフォンなどのコンシューマー向け記事や、企業向けアプリケーションの導入事例といったエンタープライズ系記事など、IT全般を対象に幅広く執筆。著書に『できるfit メルカリ&LINE&Instagram&Facebook&Twitter 基本+活用ワザ』(インプレス・共著)、『ゼロからはじめるテレワーク実践ガイド ツールとアイデアで実現する「どこでも仕事」...

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2020/10/22 07:00 https://markezine.jp/article/detail/34531

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