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「withファン」レポート

「アンバサダーを有名にする」をKGIに置いたワークマンのファン施策、その狙いと成果とは?

効果はどう検証するの? アンバサダーマーケに関するQ&A

Q.アンバサダーマーケティングの善し悪しはどう判断しますか。売上の変化によって社内でのアンバサダーに対する評価は変わりましたか?

林:社内では基本的な評価に変化はなく、「これはどんどんやっておくといい」というくらいのスタンスです。お金がほとんどかからないからということもありますね。また、善し悪しの判断については、売上の異常値を察知して判明することが多いです

 たとえばある時、業務用のコックシューズを妊婦さんが履いてネットで評判になり非常に売れたことがありました。弊社では6月の梅雨の時期になぜかコックシューズがいつもより売れ、売上グラフが異常な形になった。業務製品は定期的に売れるだけなので、通常なら安定的なグラフになるはずです。そこでSNSを調べたら、「高いマタニティシューズより、1,900円で買えて安全で、立ったまま脱ぎ履きできていいよ」という人気の投稿が見つかりました。そういう声を聞いて、商品づくりに生かしたり、SNSでも伸ばしていこう、ということでやっています。

 もっと戦略的にやってますよと言えたらかっこいいですが、実はあとで調べたらこうでした! という話にはなりますが、売上から見ているので会社のなかでの納得感は高いですね。

Q.ブランドを変えるのでなくコミュニケーションを変える方法でもいけると思った理由や分析方法があれば教えてください。

林:実はあまり難しくは考えてなく、最終的に商品が売れればOKとしています。ただ、我々はこれまで40年近くずっと「作業服ですよ」とだけ発信していて、でも実際は作業服以外の目的で着られている方も多かったわけですよね。

 そこで、コミュニケーションの一部の変えたということでは、「ワークマンプラス」というお店を出したことが大きいですね。それまでのワークマンは職人の専門店という雰囲気で、一般の方は入りづらかったですから。最初からそんなに成功するつもりはなくて、3年くらいは赤字のつもりでした。

 そして、もう一つは、作業服としてだけ売っている頃は一つもなかったマネキンを置きました。機能服でなくコンテンツとして見られる服になると、問い合わせに「どういう服なの?」というものが増えたため、マネキンに着せることにしました。それで僕ら自身も初めて「これはアウトドアウェアとしていける服だな」と認識することができました。

Q.アンバサダーやファンの方は既に御社のファンなのに、その人たちを優遇してビジネス的にプラスになるのかという声がでることはありませんか? または実際の効果があるとどう検証されますか?

林:確かに新しい購買者を増やすのでなく、既に購買者であるファンを集めてどうするんだという声がまったくないわけではありませんでした。ただごく少数です。

 大切なのは、我々のファンではなく、アンバサダーのファンがどれくらい増えるかなんです。一人のアンバサダーを応援してその方のファンが100人から1万人になれば、間接的に我々に1万人のファンがついたのと同じというふうに考えます。そこから間接的に「私もワークマンを試してみたいな」というつぶやきや、「ハッシュタグをつけて感想をかいてみよう」という総数が増えていくことが重要です。その変化を社内では効果として測っています。

Q.バズを起こすには? 何がバズるのかわからない中、その確度は上げられますか?

林:自分たちの都合で流行らせようと狙っても、狙えないと思っています。バズを意識しないで、狙わないようにしていますし、今は、バズることが本当に良いのか、とも考えるようになりました。

 たとえば、今年はワークマンの真空ペットボトルホルダーという商品がありまして、ペットボトルをそれに入れておけば一日中冷たいので外で働く職人さんのために開発したものですが、猛暑の影響でネットの記事がバズり、ふつうの方の投稿にまで16万いいね! が付いてしまうようなことが起きました。もう在庫がなく、売れないため、この商品の取材を多数いただいたのにお断りしている状態です。

 また、防塵マスクや防護服のような製品も扱う立場上、コロナ禍での品薄状態に関しては、必要な方に必要なものが届けられているのか、コントロールできない歯がゆさも感じています。

Q.テレビなどのマスメディアをうまく使う戦略について教えてください。

林:テレビに特別のラブコールを送ったり施策を組んでいるということは一切ありません。そのかわり、製品を紹介する機会があれば、常にそれに対するストーリー、商品が生まれた背景のような話はよく説明するようにしています。物語がはっきりとした商品紹介にしようということです。そうすると、メディアが拾いやすいということはあったみたいです。そのストーリーとワークマンという職人のブティックで「それが女性にウケたんだ!?」という意外性もよいようです。

 それから、ストーリーを語っていただくメディアとしては、雑誌や新聞などをはじめウェブも含む活字メディアを大事にしています。記者の方が活字で物語ると、信用が伸び、他のメディアも拾いやすくなります。

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この記事の著者

吉田 朗子(ヨシダ サエコ)

アジャイルメディア・ネットワーク株式会社 マーケティング部

広告代理店とカナダでのワーキングホリデーを経て、2018年アジャイルメディア・ネットワーク(AMN)入社。AMNでは、マーケティング部に所属しながら”寄り添う企業として”をスローガンにしウェビナー、イベントなどを開催中。個人では保護犬のボランティアなどを行いながらより良い未来を模索している。

アンバサダープログラム事業部:https://agilemedia.jp/ambassador-program

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

宮崎 綾子(ミヤザキ アヤコ)

編集者。編集プロダクション勤務を経て2009年に独立、“ひとり編プロ”アマルゴンを運営。PC・スマホ・ウェブ関連の技術&カルチャー書籍編集制作を中心に、PRコンテンツ企画など幅広く関わる。電子書籍の導入期にはImpress QuickBooksシリーズに参画。実績は https://amargon.net

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田口 和裕(タグチ カズヒロ)

タイ在住のフリーライター。ウェブサイト制作会社から2003年に独立。雑誌、書籍、ウェブサイトなどを中心に、ソーシャルメディア、クラウドサービス、スマートフォンなどのコンシューマー向け記事や、企業向けアプリケーションの導入事例といったエンタープライズ系記事など、IT全般を対象に幅広く執筆。著書に『できるfit メルカリ&LINE&Instagram&Facebook&Twitter 基本+活用ワザ』(インプレス・共著)、『ゼロからはじめるテレワーク実践ガイド ツールとアイデアで実現する「どこでも仕事」...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2020/10/22 07:00 https://markezine.jp/article/detail/34531

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