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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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MarkeZine Day 2025 Retail

ポストCookieの世界~アドテク最新事情をキャッチアップ

Cookieレスの広告配信を実現する人ベースの「IDソリューション」その世界観とは?

残された時間で広告主が打つべき一手は?

高橋:今井さんが海外と国内を比較して感じられていることや、日本独自の課題はありますか?

今井:やはり米国は動きが速いと感じます。データビジネス、IDビジネスに限ったことではなく、トライアンドエラーがとても速いです。まずテストも含めて動き出し、改善していこうという姿勢がみてとれます。

 一方で日本のマーケットの動きはとても慎重ですね。日本においては、そもそもデータを蓄積している目的が曖昧になってしまっていることが、足かせになっている部分もあると感じます。それには、代理店が関わる構造も影響しているのかもしれません。広告主とベンダー、プラットフォーマーの間に入ってサポート、管理していただくことのメリットもある一方、代理店は広告主のファーストパーティデータ自体の所有者ではなく、アクセスにも制限があることで、データ戦略を立てることが難しい部分もあると思います。

 広告主、代理店から導入をご検討いただくにあたり「インプレッションはどのくらい出ますか?」と聞かれるのですが、人ベースでつながるのが本質のソリューションなので、これまで通りのインプレッションやKPI(CPCやCPA)では測りづらいと思っています。新しい発想が市場全体で求められています。

高橋:するとターゲティングを再定義することになると思いますが、KPIを再定義するにあたり、どういった会話が多いですか?

今井:LTVが大きなポイントになります。いままでのデジタルマーケティングでは、新しいユーザーを見つけることが最も重要な一面だと考えられていて、この視点が後回しになっていた感を受けています。

 もうひとつ重要なのは、いままで会話の中であまり大きくとりあげられてきていなかったロイヤルティに応じた施策です。たとえば自社の顧客ユーザーデータ100人を分析したときに、20人は高頻度で使ってくれるゴールドユーザー、60人はシルバー、残りはブロンドという具合に、ユーザーグループを分けることができますが、それぞれに対する施策はあまりされてこなかった印象をもっています。IDを紐づけた人ベースのマーケティングで、それぞれのユーザーグループを一段階ずつ上げていく視点をKPIに取り入れていただくことが必要だと考えています。

高橋:Chromeの規制が迫っていて、残された時間はそれほど多くありません。広告主側の次の一手についてどうお考えですか。

今井:現行のソリューションを活用しながら、並行して、新しくどのようなことができるか試行する期間にすべきだと思います。この期間にどれだけ挑戦できるかが大切ではないでしょうか。

高橋:最後に御社の今後の展望を教えてください。

今井:引き続き、パートナー、広告主、パブリッシャーが安心して参画できる中立的なエコシステム構築に尽力していきます。パートナー企業は増加しており、先日もThe Trade Deskが提供するDSP「Unified ID 2.0」と連携を発表しました。

 また、関心が高まっているCMP(コンセントマネジメントプラットフォーム)の提供準備も進めています。今まさに日本市場における提供のために、個人情報保護法の改正に合わせてローカライズしており、最終段階まできています。IDソリューションだけではなく、コンプライアンスにも対応したサービスを提供していくことで、日本のマーケターさんが、これからも安心してデータを活用できる世界観を作っていきたいですね。

高橋:本日はありがとうございました。

連載一覧はこちら!

第3回「Cookie規制は目前、政府はどんな議論を?経産省に聞くプライバシー保護・データ活用両立への道筋
第2回「Cookie規制で注目される「文脈・情緒」を活かしたターゲティング【コンテキスト広告の現在地】
第1回「Cookie代替策:Google推奨のTurtledove、Criteo推奨のSparrowを紐解く

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この記事の著者

高橋 君成(タカハシ キミナリ)

Cosmose Inc, Head of Sales&Partnership, Japan 1988年生まれ。外国語大学卒業後、リクルート、Criteoなどを経て、RTB Houseの日本法人立ち上げを経験。2021年4月よりCosmose Incの日本ビジネスにおける責任者を務める。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2020/11/17 08:00 https://markezine.jp/article/detail/34635

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