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ポストCookieの世界~アドテク最新事情をキャッチアップ

Criteoの脱Cookie対応。新たに構築中の1st Party Media Networkとは?

 元RTB House、現Cosmoseの高橋氏が、ポストCookieの世界とアドテクの技術革新を紐解いていく本連載。第6回はCtriteoの中村氏と対談。6月に実施されたリブランディングの背景や脱Cookieに向けた開発や検証の最新動向、そしてCriteoが進める1st Party Media Networkの詳細をうかがった。

脱Cookieの実行には業界全体の議論が必要

高橋:本連載ではこれまで、ポストCookie時代の戦略やソリューションについてアドテク企業各社にうかがってきました。今回はCriteoの中村さんをお招きしています。

 実は私はかつてCriteoに在籍していて、中村さんのチームで働いていたことがあるのですが、そこから時間が経過し、プロダクトの方向性をはじめ様々な点で変化されていることを感じます。まずは最近の御社の状況について教えていただけますか。

CRITEO株式会社 Chief Industry Strategist 中村 祐介氏2005年にサイバーエージェントへ入社し、広告事業部にてデジタル広告全般のセールスおよび運用業務に従事。2010年よりミクシィにて自社メディアの広告セールスおよび企画提案業務に従事した後、DSP事業の新規立ち上げに参加し、セールスチームをリード。2014年からCriteoに在籍し、新規広告向けセールス業務に従事した後、2017年より広告代理店とのビジネス全般を統括するセールスチームを立ち上げ。2020年からはChief Industry Strategistとして、主に外部イベントやセミナーでの登壇業務にも従事。
CRITEO株式会社 Chief Industry Strategist 中村 祐介氏
2005年にサイバーエージェントへ入社し、広告事業部にてデジタル広告全般のセールスおよび運用業務に従事。2010年よりミクシィにて自社メディアの広告セールスおよび企画提案業務に従事した後、DSP事業の新規立ち上げに参加し、セールスチームをリード。2014年からCriteoに在籍し、新規広告向けセールス業務に従事した後、2017年より広告代理店とのビジネス全般を統括するセールスチームを立ち上げ。2020年からはChief Industry Strategistとして、主に外部イベントやセミナーでの登壇業務にも従事。

中村:これまでCriteoと言えばダイナミックリターゲティングというイメージを持たれていた方が多かったと思いますし、そのリーディングカンパニーというポジションを築くことができていたと思います。

 ですが市場の変化やお客様のニーズを踏まえて、デジタル広告におけるすべてファネルを網羅するプラットフォームとして、ポジションを再確立していこうとしています。いわゆるファネルの最下層である獲得の領域から、より上位のミドル、アッパーファネルにおけるプロダクトを拡充してきました。それが成果として形になりつつあり、今年の第2四半期の決算では、新商品の売上は前年比150%と成長しました。このようなタイミングでロゴを刷新し、新たなタグライン「The Future is Wide Open」とともにリブランディングを発表しました。

今年6月に発表された新ロゴ(プレスリリースより)
今年6月に発表された新ロゴ(プレスリリースより)

高橋:アドテク業界全体でも、様々な見直しや戦略変更の動きがありますよね。続いて、この連載のテーマであるサードパーティCookie廃止の動きに関して、御社の見解や方針をお聞かせいただけますか。

中村:まず、そもそもなぜデータの取り扱いをめぐる規制が強化されているかという点については、正しい流れだと思います。ユーザーのプライバシーを尊重する、自らのデータを主体的に管理できるようにする、取り扱いにおいて透明性を持つというのは大切なことで、Criteoが理念としてきたことでもあります。

 そのうえで、それをどう実行に移すのかについては業界全体で検討していく必要があると思います。今GoogleがPrivacy Sandboxというアイデアを提示していますが、Criteoもそれに対する意見をSPARROWというかたちで提案しています。サードパーティCookieの完全廃止が2023年後半に延期され、議論を深める時間ができたので、当社も含め、議論に参加していくことが大切だと思います。

3つの方向性で脱Cookieへの道筋をつける

中村:Cookieの問題で最も懸念していることの一つが、“ウォールド・ガーデン”がさらに強化されてしまうことです。すでにいろいろな場面で指摘されていますが、ユーザーデータへのアクセスが制限されることで、ウォールド・ガーデンの外側にあるパブリッシャー、メディアオーナーの収益化が難しくなると予想されます。ですがユーザーの体験はウォールド・ガーデンの中だけで完結するわけではなく、それ以外の場での活動も多く含まれます。Criteoは「オープンインターネット」を体現するために、広告主サイドと媒体社サイドが参加し、価値交換ができるネットワークを作っていく方針です。特にSSPとしての機能にあたる部分を強化しようとしています。

高橋:ありがとうございます。サプライサイドで良いパフォーマンスを出すことが、翻ってデマンドサイドでの価値を高めることにつながるので、両者は切り離せないですよね。先ほど少しネットワーク構築の話が出てきましたが、現在進めている具体的な対応について教えてください。

中村:主に次の3つの手法について並行して開発・検証を進めていて、将来的には複数の手法を補完的に使っていくことになると予想しています。

(1)コホートベースのアプローチ:Googleが提案するFLoC(Federated Learning of Cohorts)のテスト、検証など
(2)ユーザーレベルのアプローチ:Criteo独自の1st Party Media Networkの構築など
(3)コンテクスチュアル:Cookieに依存しない新しいターゲティング手法の開発

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この記事の著者

高橋 君成(タカハシ キミナリ)

Cosmose Inc, Head of Sales&Partnership, Japan 1988年生まれ。外国語大学卒業後、リクルート、Criteoなどを経て、RTB Houseの日本法人立ち上げを経験。2021年4月よりCosmose Incの日本ビジネスにおける責任者を務める。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

蓼沼 阿由子(編集部)(タデヌマ アユコ)

東北大学卒業後、テレビ局の報道部にてニュース番組の取材・制作に従事。その後MarkeZine編集部にてWeb・定期誌の記事制作、イベント・講座の企画等を担当。Voicy「耳から学ぶマーケティング」プロジェクト担当。修士(学術)。東京大学大学院学際情報学府修士課程在学中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2021/10/22 08:30 https://markezine.jp/article/detail/37246

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