基本概念は「ファーストパーティデータのID化」
高橋:まずは今井さんの自己紹介をお願いいたします。
今井:2002年にオーバーチュアに入社しまして、以来アドテク領域のキャリアを歩んできました。2010年には米国のアドエクスチェンジプラットフォームの日本展開を担当させていただき、その後DSPを2社経験し、2019年にLiveRampに参画しました。
高橋:では御社のビジネスについて改めて教えてください。
今井:当社は2011年に創業し、事業者によるファーストパーティデータの利活用を支援すべくIDソリューションを展開してきましたが、現在はConnectivity(接続)プラットフォームとして、人ベースのターゲティングをデジタルマーケティングに活用していくためのソリューションをグローバルで展開しています。
高橋:御社が提供しているソリューションの仕組みをご説明いただけますか。
今井:基本サービスの一つは、事業主がオフラインを含むファーストパーティデータをID化し、デジタルマーケティングに活用できるというものです。より具体的には、顧客の同意を得た上で、個人を特定できる情報(PII)を安全に固有のIDに変換し、同じく同意が取得できている企業間で連携することで、そのIDを広告配信や計測、分析に活用します。
本ソリューションはこれまで、広告主にご活用いただくケースが多かったのですが、サードパーティCookieの利用制限などの大きな流れを受け、2019年秋に、パブリッシャー向けのソリューションをグローバルと同様に国内でも提供開始しました。
高橋:なるほど。パブリッシャー側への実装イメージもお話いただけますか。
今井:多くのパブリッシャーでメールアドレスがログインのユーザーIDとして使用されていますが、顧客がログインした際に、そのユーザーIDであるメールアドレスを暗号化した上でLiveRamp IDに変換できるように実装していただきます。そして、SSPにはパブリッシャーで生成されたLiveRamp IDを受け取り、ビッドストリーム中に取り込んでいただけるような連携を行っています。
一方、広告主には、保有しているファーストパーティデータ(CRM)の中のPII、たとえば、顧客のメールアドレスを暗号化した上でLiveRamp IDに変換していただきます。DSPには、広告主のLiveRamp IDを取り込めるように連携していただきます。パブリッシャー側、広告主側で同じメールアドレスが使われたとしても、それぞれ生成されたLiveRamp IDは異なります。両者のIDをLiveRampがマッチすることによってターゲットが可能となり、One to Oneマーケティングができるようになる仕組みです。
たとえば高橋さんがMarkeZineにログインして閲覧しているとすると「今、MarkeZineを閲覧していますよ」という信号が、SSPを通してDSPにLiveRamp IDとして送られます。そうすると、「人」を認識して、より有益な広告メッセージを出すことができますよね。ただ、もちろんそのIDが高橋さんだということはわかりません。また、このソリューションを活用することで、ターゲティング広告以外の領域においても、透明性あるパフォーマンス測定が可能になります。