コンテキストマッチの領域に10年以上取り組む
高橋:まずは和田さんの自己紹介をお願いします。
和田:ログリーには2016年8月に入社し、以来一貫してネイティブ広告プラットフォーム「LOGLY lift」に携わっており、現在はlift事業部の部長としてプロダクトのアップデートに取り組んでいます。
高橋:では、御社の概要を教えてください。
和田:ログリーは2006年に当社代表の吉永が早稲田大学大学院の博士課程在籍時に創業し、自然言語処理や機械学習の技術をコアコンピタンスとして、事業を展開してきました。「LOGLY lift」にも、そうした技術が用いられています。
高橋:「LOGLY lift」ではCookieレス対応も進んでいますよね。
和田:はい。個人を特定するのではなく、人々の興味・関心に対してターゲティングしていくという考えで対応しています。2016年にGDPRが制定され、プライバシー保護が義務として世界共通の認識になったタイミングから、その方向でプロダクト開発を進めてきました。
高橋:当時はまだマイナーチェンジで乗り切ろうとする企業も多かった中、御社はかなり早いタイミングで方向転換をされたという印象を持っていました。
和田:実は弊社は創業直後から言語解析や文脈解析の領域に取り組んでおり、2012年にはDSPをオーディエンスによるターゲティングではなく、媒体の文脈でコンテキストマッチする「logly DSP」もリリースしていたんです。
最近では2018年に“ユーザーの興味を分類・可視化する技術(参照URL)”、2019年には“Cookieを使用せずにユーザー属性を推定する技術(参照URL)”について、それぞれ特許を取得しています。
広告主の対応:リタゲ代替案の模索から根本的な対策へ
高橋:ここのところ、ポストCookieの話題は日本においても関心が高まっていますよね。御社は広告主側、メディア側それぞれと接していらっしゃると思いますが、最近の状況はいかがでしょうか。
和田:まず広告主様については、2019年頃までは、リタゲの代替案を期待されることが非常に多かったですね。「Cookieなしでリタゲできますか?」とよく相談をいただいていました。一方、昨年からは徐々に「まだわからない部分はあるものの、同様のやり方を続けていくのは難しいだろう」という考え方に変わってきていると感じます。
高橋:確かに広告主にとっては、リタゲが使えなくなることの影響は大きいですよね。御社にとっても、その先のお客様にとっても、非常に勇気の要る決断が必要なタイミングに差し掛かっているのだなと感じます。
広告主の脱Cookieを後押しする「インテントキーワードターゲティング」
高橋:2020年12月、ログリーさんは「インテントキーワードターゲティング」という新型配信ロジックを「LOGLY lift」に搭載されました。これが従来のコンテキスト広告や、これまで提供されてきた広告商品とどのように違うのか、教えていただけますか。
和田:インテントキーワードターゲティングは、従来のコンテキスト解析の技術を応用したもので、 リスティング広告のようにキーワード単位でコンテキストターゲティングが可能な点がポイントです。
リスティング広告は広告主様に最もよく使われている形式の一つなので、このようなかたちで商品を提供することで、より多くのシーンで脱Cookie対応を進めていただけるのではないかと考えました。