日経BPコンサルティングは、「企業メッセージ調査 2020」の結果を発表。以下、一部内容を紹介する。
企業名想起率のトップの共通点は「ジングル」
「企業名想起率」(メッセージのみを提示してその企業名の記入を求めた時、正しく記入できた一般生活者の比率)の首位は「あなたと、コンビに、ファミリーマート」という結果に(図1)。
企業名想起率の全体平均は4.4%。企業名想起率が50%を超えたのは329メッセージ中、わずか4件だった。
- 「あなたと、コンビに、ファミリーマート」(ファミリーマート)
- 「ココロも満タンに コスモ石油」(コスモエネルギーホールディングス)
- 「お口の恋人」(ロッテ)
- 「新製品が安いケーズデンキ」(ケーズホールディングス))
この4件のうち、「あなたと、コンビに、ファミリーマート」「ココロも満タンに コスモ石油」「新製品が安いケーズデンキ」は、ジングル(音声、曲)が付いている。企業メッセージを浸透させるには、ジングルをつけることが有効だと考えられる。
高い好感度を得たキーワードは?
好感を持てるメッセージかどうかを尋ねる「メッセージ好感度」のトップ20では、「笑顔(笑う)」「愛」「つなぐ」という言葉を含むメッセージが4件ランクイン(図2)。
前回調査の2015年の結果と比較してみると、今回7位の「食でつなぐ、人と笑顔を。」(ハウス食品グループ本社)は前回70位、11位の「愛は食卓にある。」(キユーピー)は前回58位、12位の「ふやしたいのは、笑顔です。」(アートネイチャー)は前回38位だった。今回8位の江崎グリコのメッセージは、前回「みんなに笑顔を届けたい。」(65位)から「あなたが笑うと、世界が変わる」に変わっていた。
前回調査においては、「笑顔(笑う)」「愛」「つなぐ」という言葉を含むメッセージの好感度は、軒並み低い結果だった。コロナ禍で、人との絆、笑顔や愛を感じさせるようなメッセージの好感度が高くなったことがうかがえる。
メッセージ好感度の首位は「事故のない毎日をつくりたい。」(住友ゴム工業)。まっすぐなメッセージが生活者に受け入れられたとともに、コロナ禍で事故や不安のない日々を一般生活者が期待したことが、結果に反映されたと見られる。
時代を反映したメッセージが上位に
企業メッセージを見聞きした際に、どのようなイメージを持つかについても一般生活者に尋ねた(図3)。
「夢がある」の項目では、「旅は魔法」(星野リゾート)、「自由闊達である」の項目では、「見つけた!私だけの旅」(阪急交通社)が首位を獲得。前回調査と比較すると、「夢がある」の首位は「まちに、夢を描こう。」(西日本鉄道)、「自由闊達である」の首位は「あたらしい自由。au」(KDDI)だった。どちらも、「夢」や「自由」と、各イメージ項目の言葉を含んだメッセージだったが、今回はそれらの言葉を含まないメッセージが首位となった。
なお、阪急交通社の前回のメッセージ「心に届く旅 Direct to your heart」「行きたい旅、見つかる。」は、「自由闊達である」でそれぞれ53位、204位。今回同様に「旅」という言葉が入っているにもかかわらず、前回結果では低い順位だった。コロナの影響により、社会活動の自粛が続き、「旅」に対して「夢」「自由」というイメージが強くなったことがうかがえる。
【調査概要】
調査名称:「企業メッセージ調査2020」
調査機関:日経BPコンサルティング ブランドコミュニケーション部
調査内容:
・各企業メッセージに対応する企業名を自由記入式で尋ねる設問
・各企業メッセージの認知度、接触、好感、イメージ等の設問
・一般生活者の属性(年齢、性別、職業)
調査対象:「企業メッセージ調査2020」の事前調査に協力した企業のメッセージの中から選出した329メッセージ(211社)
調査方法:ネット調査
調査対象者:全国の一般生活者
調査期間:2020年8月21~30日
回収数:2万9,245件