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配信は顧客接点の”ラストワンマイル” 新生エンバーポイントの神谷CEOに聞くCRMの課題

 メール配信システムを展開するエンバーポイントが新CEOに神谷勇樹氏を迎え、同氏の創業したリノシスを取得する計画を明らかにした。神谷氏はすかいらーくで「ガストアプリ」を成功させた立役者であり、リノシスでは外食・小売をはじめ、エンタメ、金融など幅広い業種を対象にデータとAIを手掛けてきた人物。新生エンバーポイントが実現を目指す「統合メッセージングプラットフォーム」について神谷氏に聞いた。

分断されがちなビジネスとテクノロジーの橋渡し役に

――神谷さんは、11月1日付けでエンバーポイントのCEOに就任されました。すかいらーくなどでデータ領域に関わってきたとのことですが、改めてこれまでの経歴をお聞かせください。

神谷:出発点はマーケティング支援の会社でシステム構築などを行うエンジニアのアルバイトです。もっとビジネス側について知りたいという思いから、大学卒業後は経営コンサル会社に就職し、それからはテクノロジーとマーケティングやビジネスとの間の橋渡しを一貫して追求してきました

エンバーポイント CEO 神谷勇樹氏
エンバーポイント CEO 神谷勇樹氏

神谷:経営コンサルの後は、モバイルゲーム会社でのデータ分析チームの立ち上げなどを経験し、すかいらーくに入社しました。当時の外食や小売業はデータが沢山あってもきちんと使われていなかったため、伸び代が大きいと思ったからです。

 実際に、データは膨大にありました。ユニークユーザーは年間で数千万人後半、購買データは年間10億レコード程度です。モバイルゲームでやってきたデータ分析の経験を基に様々な手を打ったところ、売上で言うと約200億円、利益にして約80億円の改善に大きく貢献しました。

――2016年にリノシスを創業されました。その背景は?

神谷:このような経験を重ねる中で、まだIT化があまり進んでいない外食、小売など様々な企業のお役に立てると思ったからです。リノシスを通じてモバイルとデータを軸に、モバイルアプリ、キャンペーンマネジメント、マーケティングのROI計測、顧客を見える化するツールなどを開発し提供することで、お客様のビジネスに貢献することができました。

 データが事業の柱にあったため、データを扱うことができるエンジニアが自然と集まり、機械学習などを活用しながらサービスを開発しています。機械学習をターゲティングやセグメンテーションに活用する、あるいはレコメンドやパーソナライズに役立てるという支援を行うことが多いです。データから洞察を得て商品開発に活かすといったケースもあります。

あまり語られない「送りきること」の重要性

――リノシスでも一貫してビジネステクノロジー、2つの世界の橋渡しをされてきたのですね。そこから新たにエンバーポイントのCEOに就任した理由は何だったのでしょうか?

神谷:理由は大きく2つあります。

 1つ目は、両社が目指している方向性が同じだということです。我々が目指すのは統合メッセージングプラットフォームです。今は、単にメールを送ればいいという時代から、モバイルアプリ、LINE、SNSなどチャネルが増え、届ける相手によってきちんと使い分けしなければ成果が出ない時代に移り変わっています

 2つ目は、マーケティングにおける配信品質の重要性です。たとえば、外食企業がランチタイム向けのクーポンを配信する場合、配信に丸一日かかっていては効果が半減します。本来は短時間で送りきらなければなりませんが、規模が大きなエンタープライズになると配信対象のお客様の数が数百万人ということもあり、短時間で送りきることは簡単ではありません。

 このように、メッセージを送りきることは重要なのに、その重要性はこれまであまり語られていません。届く率が10%改善すれば、同じコンバージョンならば売上は10%伸びる可能性があります。つまり、マーケティングのROIを考える上でとても重要です。

 エンバーポイントはメール配信システム「MailPublisher」を主力製品とし、こうした高い配信品質において実績を積み上げています。我々は単にメールを送るだけではなく、その先にある成果を大事にしています。そのために技術力、製品力を高めており、我々と一緒にやれば価値が生まれるとお客様に感じていただけると信じています。

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この記事の著者

末岡 洋子(スエオカ ヨウコ)

フリーライター

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2020/12/04 10:00 https://markezine.jp/article/detail/34908

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